履正社vs大和川
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飯塚孝史投手(履正社)
夏の大阪王者、現実への帰還
今夏の大阪チャンピオン・履正社が新チームの初戦を迎えた。甲子園でも3回戦、8月16日まで戦った旧チーム。2年生6人がスタメンに名を連ねていたこともあり、新チームの評判も大阪では高い評価が秋の大会が始まる前はあった。
その初戦。結果から先に書けば5対0。5点のうちタイムリーは9回に飯塚孝史(2年)が放った1本だけ。9安打はすべて散発。この事実だけ書けばややもの足りないようにも見える。
「こんなものです。練習試合とは違いますから」と話した岡田龍生監督
下級生が多いチームが甲子園で勝ち進むと怖い面がある。それは新チームへの気持ちの切り替えがすぐにできにくいという点。飯塚に話を聞いても「なかなか気持ちの切り替えができませんでした」と否定しなかった。甲子園という興奮状態の所から現実への帰還をどう図るか。今年の履正社は敗れた次の日に新チームがスタートし、下級生はほとんど休みなしで秋に突入した。
練習試合も関東遠征をおこなうなど、15試合以上はこなせたという。5試合に満たない数で秋に突入するチームが多い中で、この数字は大きい。地道に実戦をこなすことで、現実への帰還は確実に図れているように思えた。それが犠牲フライにスクイズ2本、さらにダブルスチール崩れの間で残りの4点を挙げた部分に繋がるだろう。タイムリーが出なくても、走者が出れば得点機を常に伺える履正社らしい野球は示した形だ。
新エースとなった飯塚も「調子が悪かった」と話すように苦しんだ。それでもテンポの良さではなく、いつも以上に慎重に入ったことが功を奏し、立ち上がりの1、3塁のピンチでのスクイズは冷静に外した。
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坂本誠志郎主将(履正社)
大和川打線が外角の球を狙ってきていたが、2回から8回までは危なげないピッチング。9回に背負った1死3塁のピンチは「点を取られたら恥ずかしい気持ちだった」と意地で完封に繋げた。しかし完封しても納得した様子ほとんど感じられなかった。
「経験者が6人いると言っても、それほどの力があるわけじゃない。江原(祥太・旧主将)などの3年生に引っ張られていたわけですから。打って流れを変えられる打者もまだいません。今の自分達の実力がどんなものかこれで選手もわかったと思います」と話した岡田監督。
序盤は週単位の秋は勝っていくことで、また次の試合へ向けての練習に弾みがつく。
(文=松倉 雄太)