試合レポート

大府vs安城東

2010.09.13

2010年09月12日 春日井市民球場

大府vs安城東

2010年秋の大会 秋季愛知県大会 1回戦

一覧へ戻る

新美投手(大府)

愛知公立校の雄・大府、1年生右腕が粘投

有望選手を発掘しようとする場合、下級生がレギュラーナンバーをつけていたなら、すべからくチェックすべきだ。特にショート、サード、ピッチャー、キャッチャーあたりが下級生だと、メンバー表を見ただけなのに「ひょっとして逸材候補なのでは?」と期待も膨らむ。もちろん、成長途中の高校生に過度な期待を押しつけるのはNGだが、「この先、育ってくれたら・・・」という思いは湧いてくる。

この秋季大会、大府で1年生ながら背番号1をつける新美勝悟。彼も、そんな選手の1人かもしれない。

上背があり(181cm)、ややカクカクとしたテークバックで腕を巻き上げてから、極端なほど真上から腕を振ってくる。そして、腕の振りの「しなやかさ」が素晴らしい。ヒジが柔らかく使えるタイプだ。うまくキマったストレートは、いい角度で捕手のミットに収まる。
まだ特別に腕の振りが速いわけではなく、スピードも130キロ前後。それでも、タテに落ちる変化球があり、いいものは持っている。体の成長やきっかけ一つでグンと良くなるかもしれない。

この日の投球内容はというと、試合序盤に四死球を重ねるなど、三者凡退に抑えたのは7イニングスを投げて1度のみ。本人は試合後、「ムダなボール球が多かったです」と反省し、「次の愛工大名電戦では、球を低めに集めていいピッチングをしたい」と気を引き締めた。それでも竹前俊宏監督は「ボール球が続く場面や、味方のエラーもあったが、よく粘ったほうでしょう」と、ひとまずは新美の踏ん張りを認めた。


長坂(大府)

大府打線は5回裏に集中攻撃で7点を挙げ、それまでの接戦模様を一気にワンサイドへと変えた。
竹前監督は「球場に向かう前に自校で行った打撃練習でよくバットが振れていて、これは今日はおもしろいなとは思っていました。夏に暑い中、練習や地区大会での試合を重ねて選手たちはヘロヘロになりましたが、その疲れが抜けたこともあり、ここへきて打球が速くなってきました」と打線好調の要因を明かしてくれた。
5番打者に入った2年生・長坂裕治も、明らかにバットが振れていた選手の一人。7回裏に、コールド勝ちを決める左中間本塁打を放った。「低目の球の見極めが良くなって、それがバッティングにいい影響を与えています。(7回裏の本塁打は)外野の間を抜ければとは思っていましたが・・・」と、高校通算3本目のアーチを振り返った。

「1年生も多いため(試合で)ドタバタしてしまう面もあり、大事なポイントでエラーが出ることもありました。でもミスはしょうがないから、ピッチャーを中心に我慢して、次へ次へと(気持ちを)切り替えていくように指示していました。初戦としては上々です」とは竹前監督の談だ。

一方の安城東は、ストレートの走りの良さが特長の主戦・鍵谷拓也が序盤こそ踏ん張ったが、5回裏に相手の流れを止められず、連打を浴びてしまった。2安打を放った4番の杉浦力は、守備や走塁でも生きのいいプレーを見せていた。

(文=尾関 雄一朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.25

【ポニー】春夏連覇を阻止して初優勝!筑後リバーズが夏の日本一に輝く

2024.07.25

センバツ覇者・健大高崎が決勝進出!天敵の前橋育英に6点差を追いつかれるも10年ぶり夏勝利!

2024.07.25

木更津総合が2年ぶりの決勝進出!ノーシードから勝ち上がり6年ぶり夏の甲子園まであと1つ!7回無失点のエース右腕は「勝ちにこだわりたい」

2024.07.25

春の近畿王者・京都国際、逸材揃いの2年生たちの活躍でコールド勝ち! 黄金時代が続く予感【24年夏・京都大会】

2024.07.24

享栄、愛工大名電を破った名古屋たちばなの快進撃は準々決勝で終わる...名門・中京大中京に屈する

2024.07.25

まさかの7回コールドで敗戦...滋賀大会6連覇を目指した近江が準決勝で涙【2024夏の甲子園】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.28

最下位、優勝、チーム崩壊……波乱万丈のプロ野球人生を送った阪神V戦士「野球指導者となって伝えたいこと」