大府vs安城東
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新美投手(大府)
愛知公立校の雄・大府、1年生右腕が粘投
有望選手を発掘しようとする場合、下級生がレギュラーナンバーをつけていたなら、すべからくチェックすべきだ。特にショート、サード、ピッチャー、キャッチャーあたりが下級生だと、メンバー表を見ただけなのに「ひょっとして逸材候補なのでは?」と期待も膨らむ。もちろん、成長途中の高校生に過度な期待を押しつけるのはNGだが、「この先、育ってくれたら・・・」という思いは湧いてくる。
この秋季大会、大府で1年生ながら背番号1をつける新美勝悟。彼も、そんな選手の1人かもしれない。
上背があり(181cm)、ややカクカクとしたテークバックで腕を巻き上げてから、極端なほど真上から腕を振ってくる。そして、腕の振りの「しなやかさ」が素晴らしい。ヒジが柔らかく使えるタイプだ。うまくキマったストレートは、いい角度で捕手のミットに収まる。
まだ特別に腕の振りが速いわけではなく、スピードも130キロ前後。それでも、タテに落ちる変化球があり、いいものは持っている。体の成長やきっかけ一つでグンと良くなるかもしれない。
この日の投球内容はというと、試合序盤に四死球を重ねるなど、三者凡退に抑えたのは7イニングスを投げて1度のみ。本人は試合後、「ムダなボール球が多かったです」と反省し、「次の愛工大名電戦では、球を低めに集めていいピッチングをしたい」と気を引き締めた。それでも竹前俊宏監督は「ボール球が続く場面や、味方のエラーもあったが、よく粘ったほうでしょう」と、ひとまずは新美の踏ん張りを認めた。
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長坂(大府)
大府打線は5回裏に集中攻撃で7点を挙げ、それまでの接戦模様を一気にワンサイドへと変えた。
竹前監督は「球場に向かう前に自校で行った打撃練習でよくバットが振れていて、これは今日はおもしろいなとは思っていました。夏に暑い中、練習や地区大会での試合を重ねて選手たちはヘロヘロになりましたが、その疲れが抜けたこともあり、ここへきて打球が速くなってきました」と打線好調の要因を明かしてくれた。
5番打者に入った2年生・長坂裕治も、明らかにバットが振れていた選手の一人。7回裏に、コールド勝ちを決める左中間本塁打を放った。「低目の球の見極めが良くなって、それがバッティングにいい影響を与えています。(7回裏の本塁打は)外野の間を抜ければとは思っていましたが・・・」と、高校通算3本目のアーチを振り返った。
「1年生も多いため(試合で)ドタバタしてしまう面もあり、大事なポイントでエラーが出ることもありました。でもミスはしょうがないから、ピッチャーを中心に我慢して、次へ次へと(気持ちを)切り替えていくように指示していました。初戦としては上々です」とは竹前監督の談だ。
一方の安城東は、ストレートの走りの良さが特長の主戦・鍵谷拓也が序盤こそ踏ん張ったが、5回裏に相手の流れを止められず、連打を浴びてしまった。2安打を放った4番の杉浦力は、守備や走塁でも生きのいいプレーを見せていた。
(文=尾関 雄一朗)