愛知啓成vs岡崎商
2010年09月11日 熱田公園球場
愛知啓成vs岡崎商
2010年秋の大会 秋季愛知県大会 1回戦
土本投手(愛知啓成)
中盤以降点の取り合いの乱戦は、愛知啓成が逆転サヨナラ
中盤以降、お互いが毎回のように点を取り合う展開の試合となった。６回、７回と表裏に１点ずつ取って、終盤へ進んでいった試合だったが、愛知啓成３回の貯金が効いてその分リードしていた。
４点を追う岡崎商は８回下位が連続四球で出て、さらに暴投で二三塁となると、一番松本君の中前打で１点を返す。さらに１死後、代わった３人目の小田君から三番大野君が右線へ二塁打して１点差とした。なおも死四球もあって２死満塁となり、ここで七番矢田君が左中間へ一掃の二塁打を放って逆転した。岡崎商としては、夏の準優勝校を相手にして８回で４点差を逆転してリードしたのだから、大殊勲の匂いも十分にあった。
自分の長打で逆転したこともあって、その裏から再びマウンドには矢田君が戻った。５回途中から右翼の杉田君が入れ替わってリリーフしていたのだが、球の威力そのものは矢田君があるし、夏の実績もあるだけに、片山峰高監督としても矢田君に賭けたいところもあったのだろう。
ただ、やはりいくらかの力みがあったのも否めない。それでも、８回は無死一二塁としながらも後続を何とか抑えた。これで、岡崎商としては、そのまま逃げ切れるのではないかという感じでもあった。ところが、愛知啓成もさすがに粘った。９回も代打の身長１９３ｃｍの浅田君が死球で出ると、この回からマスクを被っていた深谷君が三遊間を破ってつなぐと、バントで送って二三塁。続く石田君は三邪飛で倒れて岡崎商としてはあと一人となった。ところが、その後四球もあって２死満塁となって、愛知啓成は一番頼れる野田君に回ってきた。打球は右中間をやや狭めた中堅手をあざ笑うかのように左中間に飛び、これが走者一掃のサヨナラ打となった。
矢田投手(岡崎商)
愛知啓成としては、まさに首の皮一枚からの逆転劇だった。岡田敬三監督は、「もう、くたくたの試合でしたね。８回の６点はもちろん、その前も全部余分な失点ですよ。前のチームから経験している選手がいるのだから、もっと彼らがリードしていってくれないとね」と、辛勝に安堵しながらも渋い表情だった。
そんな中で愛知啓成としては、先発した土本君が５回１／３でマウンドを降りたものの、８三振を奪い、力のあるところを示した。やや立ち投げという印象はあったが、スピードは十分で試合を作れる投手という印象だった。岡田監督としては、左打者が続くということもあって、その後を左腕の具志堅君につなぎ、三番手としては小田君を送り込んで出来る限り投手の経験を積ませていきたかったといところもあったようだ。ただ、ここで捕まってしまったのは誤算だったかもしれない。結果的には最後に投げた野松君が抑えたことで何とかなったのだが、夏の準優勝校としては苦しい県大会初戦だった。
（文＝手束 仁）
