試合レポート

文徳vs済々黌

2010.08.29

2010年08月28日 藤崎台県営野球場  

文徳vs済々黌

2010年夏の大会 平成22年度熊本市内大会 準決勝

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畑野竜聖(文徳)

投打の軸は背番号4ー

熊本市内大会-。
一昨年まで秋季大会のシードを決める大会であったが、昨年からシード権とは関係がなくなった。しかしながら新人戦に位置する今大会は新チーム一発目の公式戦であり、シード権とは関係がなくなった昨年からも引き続き熱戦が繰り広げられている。

準決勝第一試合、文徳vs済々黌は、息詰まる熱戦となり延長に突入した。12回裏、2番・西澤がサヨナラ二塁打を放ち、文徳が決勝進出を決めた。

その流れを作ったのは文徳の背番号4、畑野竜聖だろう。
背番号4でセカンドを守っていた畑野は、9回表から先発した石井に代わってマウンドに立った。
いきなり7番・毛利裕太に左前安打を許すが、後続を断ち、9回最後の打者を勢いあるストレートで見逃しの三振に仕留め、守りからリズムを作った。

その裏、1点を追う文徳は、その畑野(3番)からの好打順となった。畑野は、前打席まで左打席で立っていたが、この打席は右打席に立った。相手のサブマリン右腕・園部隼平が交代したわけでもない。「高校に入学して両打ちになったのですが、今日は左が当たってなかったので右打席に入ってみました」と目先を変えるなど自分なりに工夫したようだ。結果は三塁ゴロに終わったが、続く4番・山口の中前安打などでチャンスを作り、2死から相手投手のワイルドピッチを招き、土壇場で文徳が追いついた。
そして畑野はその勢いをそのままピッチングへと繋げていった。10回表はいきなり3、4番から連続三振を奪い、9回から続けて三者連続三振を奪うなど結局、4回を投げ、済々黌打線を被安打1に抑え込んだ。「今日はコントロールが悪かったのですが」と本人は苦笑いするが、本調子でない中でも威力あるストレートと鋭く曲がる縦カーブから高い能力が垣間見えた。

畑野は、今夏、3年生39名いた中でも下級生として唯一ベンチ入りした2年生で、夏の初戦は3番レフトでスタメン出場するなど下級生時から期待されている選手。託麻中学時代はFBボーイズに所属し、エース兼遊撃手として活躍した逸材である。
「今年は目立った選手はいませんが・・」という森崎秀樹監督も頼もしい背番号4に目を細めていたように思えた。

済々黌では、夏(2番二塁手)からレギュラーの1年生、1番遊撃手・西昭太朗のセンスが際立っていた。独特の歩き打ちからこの試合、3打数2安打、3四球と巧打に抜群の選球眼、それに加え機敏な動きの守備も光っていた。
新チーム結成後、まだ浅いこの時期、これから精度を求めていくだろうが、両チームともに粘りがあり、随所に高い能力をみせてくれた。公式戦という緊張感の中、課題もみつかっただろう。両校とも更なる仕上げをみせ、秋季大会の活躍に期待したい。

(文=PN アストロ


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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