高知vs高知丸の内
![](/images/report/kouchi/20100824004/photo01.jpg)
堀尾茅右翼手(高知1年)
「全国で戦える」選手だからこその苦言
2年前の8月、横浜スタジアムでの第25回全日本少年軟式野球選手権大会を制した高知中の主力メンバーが、いよいよ最終学年を迎えることになった高知高校。特に高知中時代は3番ショートで大活躍。今年のセンバツでも攻守にわたり全国レベルにあることを証明した亀井雅人(2年)と、エース格だった中学時代から今春転向したキャッチャーのポジションで、早くも投手陣の長所を巧みに引き出している松窪海斗(2年)は、さらなる高みを目指すべき逸材である。
しかし、この試合における2人は筆者の目から見ると辛口の評価を下さざるを得ないものであった。打撃成績の上でだけであれば、3番に入った亀井は4打数2安打3打点、4番に座る松窪も高校初アーチを含む3打数3安打5打点と文句なしであるように見えるが、問題なのはその内容や守備面についてであった。
まず、亀井について気になったのは彼のバッティングフォームにおける最大の特徴である「振り子」の使い方についてである。彼のよさは相手投手とのタイミングを計る手段である「振り子」を戻す勢いのまま、沈み込んで強くボールを捉える点であったはず。
ところが、高知丸の内戦における彼の振り子は2回、初球をライトに打ち上げた場面に象徴されるようにタイミングを計ったまま終わり、次には体が伸び上がった状態でボールの下を撫でるシーンがあまりにも多かった。
続いて松窪にかんして言えば、捕手の生命線である「キャッチング」の雑さは目に余るものであった。先発の細川孝典(2年)は力のある直球をコースの四隅に投げ分けているにもかかわらず、彼の蝿を叩き落すようなキャッチングは投手への愛情のかけらも感じないもの。この試合、少なく見積もっても彼のキャッチングによりストライクをボールと判定された数は10球以上にのぼり、それがチームのリズムを乱していたことは否定できない事実である。
読者の皆さんはここまで「何も高校生にそこまで厳しく言わなくても…」と思われるかも知れない。しかし、亀井と松窪にかんしては、これまでの実績を見ても目先の結果だけで評価するような低いレベルの選手たちではないし、新シーズンの四国高校野球を牽引すべき「全国で戦える」選手でなくてはいけないはず。この壁を乗り越えなければ、「中学時代はよかったけど」と言われるのが関の山である。
試合後、高知・島田達二監督は「亀井は彼自身に対して僕からつきつめていったことで、困っている状態。松窪はまだ投手への未練が残っている」と2人の現在の胸中を語ってくれたが、それでもここは敢えて筆者から苦言を呈することで、今後の彼らに大いなる奮起を促したい。
(文=寺下 友徳)
[:addclips]
[:report_ad]
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高知 | 3 | 0 | 0 | 2 | 0 | 9 | 14 | |||||||||
高知丸の内 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
高知:細川孝典-松窪海斗、柳井丈貴 高知丸の内:西村理志-多田佳樹
本塁打=松窪海斗(高)(6回表2ラン・大会第2号)