早稲田実業(西東京)vs中京大中京(愛知)
![](/images/report/zenkoku/20100814003/photo01.jpg)
小野田(早稲田実)
つなぎの野球ができなかった中京大中京
やはり、聞けない。
今夏限りで、勇退することが決定している中京大中京・大藤監督に対するねぎらいの空気が充満する取材スペースの中、この日の采配について問いかったが、そういうわけにもいかなかった。
事情は承知である。
最後の花道が6-21という記録的大敗というのは、指揮官にとって辛いものがあったろう。その中で、采配を問うのは聞きづらいものがあった。
しかしながら、1回に7点を先取された後の中京大中京の攻めがあまりに雑に見えたのが、気がかりでしょうがなかった。個人的に思っているのだが、試合序盤のビッグイニングは取り返せると思っている。たとえ、7点であっても可能だと。これが同じ7点でも5イング連続で失点しての7点とはワケが違うのだ。
中京大中京は1回に失策がらみで一気に7点を奪われた。大藤監督はそのあと、選手たちに「自分たちの野球をして、いいプレーを見せよう」と声を掛けたというが、そこでの反撃の方法が気になった。
1回裏、中京大中京は先頭の小木曽が中前安打で出塁、2番・川本は一塁ゴロ封殺。3番・森本の右翼前安打が相手の暴投を誘い1点を先制した。しかし、5番・岩井川のところでは、動かずに併殺打。2回裏は、先頭の堀井が右翼前安打で出塁も、7番・藤波は強攻で右翼フライ。8番・福島が併殺打で倒れたのだ。
1点を取りに行く野球ではなく、2点以上を取りに行く野球。1、2回の中京大中京の攻撃から見えたのは、「7点」を重く感じている采配だった。
戦略は選手たちに伝わるものだ。1点ではなく2点以上を取るためには、どういうバッティングをしなければいけないか、ということである。今年のチームはポテンシャルこそ高いとはいえ、つないで得点するというのがパターン。そういうチームには負担が大きい。
2点以上を取りに行ったことで、1回の1点にとどまり、中盤までにその差を詰められなかった。これが、6点のアドバンテージがある早実にさらなる猛攻を仕掛けさせた要因の一つである。
大藤監督は、8、9回に見せた意地に「つなぎの野球を最後まで見せてくれたのは嬉しかった」と顔をほころばせたが、それが7点ビハインドの初回から作っていれば、どうなっていただろうかという疑問はいつまでも残る。
あの、大藤監督の功労をねぎらう空気のある取材スペースで、この質問を投げかけるべきではない。そのことは分かっている。ただ、全国制覇を果たした監督だからこそ、聞きたかった。
1点を取りに行くべきではなかったのか、と。
(文=氏原 英明)
(撮影img01~28=宮坂 由香)
(撮影img29~45=鈴木 崇)
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早稲田実業 | 7 | 0 | 0 | 0 | 12 | 0 | 0 | 0 | 2 | 21 | ||||||
中京大中京 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 6 |
早稲田実業:鈴木,内田―土屋 中京大中京:浅野1,森本,竹内,森本―磯村