試合レポート

東海大相模(神奈川)vs土岐商(岐阜)

2010.08.17

2010年08月16日 阪神甲子園球場

東海大相模(神奈川)vs土岐商(岐阜)

2010年夏の大会 第92回甲子園 3回戦

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一二三慎太(東海大相模)

一二三の快投がもたらす意味

今日の試合は東海大相模にとっては二つの大きな意味もった試合になった。

まずは、エース・一二三慎太のメンタル面。
本人にとっても久しぶりに気持ちよかった試合だと思う。
サイドスローに変えて戻ってきた甲子園。
初戦となった茨城の水城戦。一二三は苦しみながらも8回途中まで3失点にまとめ、打ってはHRを放つなど勝利に貢献した。
しかし、本人が「ふがいない投球」というように投球には満足していなかった。
そして迎えた3回戦の土岐商戦。若干、肘をあげるなど微調整をして臨んだこの試合。初戦同様、一二三はストレートで押した。
その割合、じつに投球の81%。しかし、ストレートの質は明らかに初戦と違った。この日の最速は147キロ。
投げているうちに腕が振れてきている。そしてストレートに自信が戻っているように見える。

試行錯誤を結果、夏に向けて封印した本格派のDNAが呼び起こされたのでは? 見ていてそんな感じをうける素晴らしい投球を見せた。準々決勝へ向け本人もメンタル的に良い状態で迎えられそうだ。

 そしてもう一つ大きな意味が、フォームの微調整が東海大相模の投手陣の幅を広げたという事。
この肘を少しあげた投球フォームがもしかすると東海大相模の優勝のカギかもしれない。
肘があがり、平均球速があがったエース・一二三。
それは同時に2番手投手の江川を起用しやすくなったことを意味している。
2番手の江川は一二三と同じサイドから切れの良いストレート・スライダーを武器に制球力で勝負する投手。

しかし、現状ではタイプの近い一二三の後にマウンドにあがりづらい。
(予選では江川の後に一二三がマウンドに上がるケースはあったが)
実際に初戦で、点差はあったにせよマウンドに上がったのは2番手の江川でなくサウスポーの中嶋である。
そういう意味でも、今日の〝本格派”一二三の誕生は、東海大相模にもう一人のタイプの違う投手を生んだという意味で大きい。
決勝から逆算すると残り3試合。
猛暑の中の試合が予想され,一人で投げきるのはやはり至難の業。
神奈川県予選でも5人の投手が登板し、マウンドを守りきった。サブの投手の力は必ず必要になってくる。
タイプの違うもう一人の投手が加わったことで東海大相模は大きな戦力を生むことになった。

 35年ぶりのベスト8入りした東海大相模
優勝に、向けて徐々に役者がそろってきた、そんな印象を与える試合だった。

(文=高校野球情報.com編集部)
(撮影=鈴木 崇


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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