Interview

埼玉西武ライオンズ 雄星投手

2010.07.27

第49回 埼玉西武ライオンズ  雄星投手 2010年07月28日


埼玉西武ライオンズ 雄星投手 | 高校野球ドットコム

第49回の独占インタビューは、埼玉西武ライオンズ、雄星投手です。

高校時代からその速球にプロから多くの注目を集め、昨年度の甲子園での活躍が記憶に新しい雄星投手。プロとなってからもますます研鑽されている雄星投手に、花巻東の思い出、高校時代とプロ時代の違い、そして今後目指す選手像についてお話を伺ってきました。


プロとなって、再び花巻東へ

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スタッフ(以下「ス」):オールスター中の休みに、自分の母校である花巻東高校の夏の予選大会を観に行ったようですが、どうでしたか?

菊池雄星選手(以下「菊」):結果としては残念ながら負けてしまったんですけど、久々に学校・チームが一つとなって戦う高校野球を見て、すごく一年前はこうだったなぁとかもっと頑張らなきゃとか…色んな気分にさせられました。でも勝ち負けは別として元気をもらいましたね。

「ス」:一年前はご自身がグラウンドでプレーをしていて、今はスタンドにいる。心境はどのようなものでしたか?

「菊」:試合を観に行った時は、スタンドで応援団の横に座っていたんですけど、もう少し緊張感なくみれるかなと思っていたんですけど、ここはこうだろうとか思いながら観ていたので、リラックスすることもできずに、むしろ現役中よりハラハラしていましたね(笑)。

「ス」:一年前と比べて応援スタイルは変わっていましたか?

「菊」:基本的には変わらないですね。自分は高校三年間、ベンチに入れさせてもらっていて応援団になることはなかったのですが、初めて花巻東の試合を外から観て気付く事はたくさんありましたね。

「ス」:例えばどのようなことでしたか?

「菊」:正直、プレーしている側はプレーにいっぱいいっぱいで何も気付けていなかったのかなって思いました。例えばグラウンドで言えばあの選手はあそこまでファールボールを追いかけてくれたとか、あの選手はあそこまで全力疾走でファーストベースを駆け抜けてくれたとか。スタンドで言えばこんなにも声を出して名前を呼んでくれてたとか。だからヒットどうこうよりも全力でやってくれている姿は、やはり外からみると色んな主点で見れたかなと思います。

「ス」:声援やそう言ったプレーは自分の力になっているということですね。

「菊」:もちろんです。自分が三年生だった頃の二年生が今、三年生となり、こいつらが中心になってあの時の自分たちを応援してくれていて自分たちがベストをだせたと思うので感謝していますね。レギュラーになれない、ベンチに入れない三年生が補助に回ってくれてみんなの為に頑張るよと言ってくれ、100パーセントのサポートをしてくれたから甲子園に行けたんだと思っています。だから縁の下の力持ちじゃないですけど、下で支えてくれる人たちの力で初めて自分の力が出せるんじゃないかなと思いますね。”想い”は大事ですね。

「ス」:花巻東の応援スタイルはどのようなものなんですか?

「菊」:基本的に吹奏楽が30人程度で、野球部は人数が多かったので野球部中心に声を出して応援してくれましたね。花巻東は全校生徒を始め、地域の方々やファンの方々が多く一緒になって応援してくれるのでそれが強かったです。正直、引退するまでこの応援の凄さに気付くことが出来なかったので、もっともっと早く気付いていれば違う結果になっていたのかなと思いますが、こうやって気づけたので埼玉から岩手に駆けつけて良かったなと思いました。


球児時代のマウンド、プロ時代のマウンド

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「ス」:ゴールデンウイーク中に仙台の8000人以上のファンの方々が見守る中、ご自身初勝利を挙げられましたね。

「菊」:はい。登板日の心境の半分は、わざわざゴールデンウイーク中に岩手から駆けつけてくれたファンの方や東北の方にいいピッチングを見せなきゃと思ったのと、半分はやってやるぞという責任感のもとで登板しました。

「ス」:高校のマウンドで浴びる声援とプロのマウンドで浴びる声援は何か違いますか?

「菊」:高校は、地域や県を含み全てを背負ってやるのでプレッシャーは高校の方が強く感じていたと想います。

野球部100人以上いる中で20人しかベンチに入れない。3年間同じメニューの練習をこなしてきたのに一人だけしかマウンドに立たない。何十ものライバル校の中で甲子園に行かせてもらった。県の寄付金や支援金で甲子園に行かせてもらう。そう言った全ての支えがあったので、負けちゃならないというプレッシャーは常にありました。

プロはどちらかというと、個人に対するプレッシャーが多いです。自分との戦いの中で感じるプレッシャーがあります。高校もプロも違った意味でそれがおもしろくもあるんですけどね。

「ス」:今は一軍に上がる為にどういった取り組みをされているんですか?

「菊」:肩を痛めたり、甲子園から色んな部分を負傷しているので、とにかくそれを治すこと。高校時代の自分の武器であった150キロを超えるストレートを取り戻しまた磨きをかけたいと思っています。

「ス」:ウエイトなどのトレーニングもされていましたね。

「菊」:トレーニングも大切なんですけど、それよりも大切なのは自分の体をいかにコントロールできるかですよね。筋力が増えたからって球が速くなるわけではないし、筋力をうまく使えば速い球を投げれるわけではないので、いかに自由自在に体をコントロールできるかにかかっていると思います。


菊池雄星にとってのスポーツマンシップ

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「ス」:所沢に来て半年が経ちましたが、学ぶことはまだありますか?

「菊」:もちろんです。今日みたいに(一軍二軍合同練習日)一軍の選手がこっちで練習していて合同練習をやる時などキャンプでは気付けなかったことなど見て学べるところがたくさんあります。吸収できることがたくさんあるのでいい意味で盗みたいと思いますね。

「ス」:体で学ぶことと、頭で学ぶこと双方あると思いますが、頭で学ぶことはありますか?

「菊」:自分が意識して学ぶことはしないけれど、発見することが大切だと思うんです。会話の中でも何でも発見して自分の中でそれを開拓していくこと、それを僕は頭で学ぶことだと思います。

「ス」:雄星さんは愛読家として知られていますが、本から学ぶことはあるんですか?また野球に生かせることもありますか?

「菊」:本から何か学ぼうと思って本をよんでるわけではなくて、あくまで趣味なんです。

何かに繋げようと思ってやっていることは一つもないです。何かをして野球に繋げようとするのじゃなくて、全てが野球に繋がっていると考えれば気持ちも楽ですしね。遊び、睡眠、ゲーム全てがいいように繋がっていると意識しています。

「ス」:なるほど。それでは、雄星さんにとってのスポーツマンシップって何ですか?

「菊」:それは究極の答えになりますね。いかに”覚悟”できるか、じゃないですかね。中途半端は絶対にだめ。これをやると決めたら諦めないでやり抜くこと。勇気っていうと、だめだったら辞めるって感じだけど”覚悟”はそれでもやり続けるという感じ。だからいくら結果がでなくとも自分の信念を曲げないこと。スポーツをやる上で結果が出る出ない別として、捨ててはならないものなんだと僕は思います。


甲子園が終わって

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「ス」:選手権大会県予選も閉幕し、残念ながら全国で甲子園に行けなかったチームがたくさん出てきています。そんな球児達にかけたい言葉はありますか?

「菊」:自分が一番怖かったことは、”燃え尽きる”ということ。バーンアウトってことですね。これだけは絶対しちゃいけないと夏の前に考えていました。日本一になることだけしか考えていなかったけれど、勝っても負けてもどこかで終わりは来るので。バーンアウトをしないと決めて次なる目標を持っていたので、負けた後でも自分はすぐに練習に切り替えることが出来ました。

「ス」:目標を常に持って欲しいですね。

「菊」:一番大切なのはいい大学に入ることではないと思うんですよ。特に負けてからの夏休みってこの長い1ヶ月で自分の方向性をみつけることは可能だと思うし、時間を無駄に使うのではなく家にこもってゲームしているのではなく、どこかに行ったり、本を読んだり、色んな人に会いに行くことも出来る時間に変えられると思うんですね。時間をいかに有効に使えるか、です。この1ヶ月で進路が変わったり自分の可能性を見つけられると思うので。

「ス」:ご自身もその時間を有効に使われましたか?

「菊」:僕も甲子園が終わってから、日本かアメリカで悩んだ時があってすごい悩んだし、でもそれはその時にしかできないことだったからいい勉強にもなったし夏休みという時間の中で色んな人の話も聞けて良かったと思います。だから時間があるぶん有効に使って欲しいですね。

「ス」:三年生が抜けて新チームになると思いますが、新チームでの思い出とかはありますか?

「菊」:正直、新チームになった時が高校三年間で一番楽しかったです。チームのトップに立ち、また最後の一年間ということで色んな”責任”を感じましたけどちょうど去年の今が一番楽しかったです。ちょうど去年の8月のお盆休みは普通帰省する時期なんですけど、僕たちはお盆休みいらないので、寮に泊まらせて練習させて下さいということを監督に頼み、許可をもらいました。迷惑をかけないようにご飯もみんなで作るからと言って、一人一人が食材を買ってきてみんなで作ったりしてそれもいい勉強になりましたね。4日間、一緒に寮に泊まり自炊をして、そのままいいスタートをきれて甲子園まで走り抜けられたんだと思います。

「ス」:新チームはスタートが大事ということですね。

「菊」:そうですね。チーム作りをするのに大切なのは一番最初の雰囲気作りだったり、どうやって練習するのか、どうやってミーティングするのかを決めたりして一年が決まると思います。ダラダラと始めたらそのままチームはダラダラした練習しかできないと思うんです。

「ス」:最初から二年生全員の方向は固まっていたんですね。

「菊」:優勝候補と言われながらベスト8で負けてしまった悔しさもあったし、入学してから自分たちは甲子園に行くものだと思っていたし、行かなきゃおかしいと周りから言われていたから、チャンスは二回しかないと常にみんなで言い聞かせていました。このままだと何を言われるか分からないというプレッシャーをうまく力に変えられたのはチームが同じ方向を向いていたからではないかなとは感じますね。


ファンへのメッセージ

「ス」:シーズンも後半を折り返しました。ファンの方々の声援にどう応えたいですか?

「菊」:自分はまだ高校時代の自分しかイメージしてもらえてないし、そのピッチングを早く見せて欲しいと思ってもらっていると思います。それに応えるために中途半端な状態じゃ申し訳ないので、体をベストの状態にして最高のパフォーマンスを見せたいです。とにかく一年目は思い切り投げること、壁にぶつかったらどうするか考えること、試合に出て打たれて勉強することでステップアップになると思うのでとにかく毎日を必死で練習したいと思います。

「ス」:ファンの方にメッセージをお願いします。

「菊」:シーズンも折り返してチームも首位を走っているので1日でも早くベストなパフォーマンスが出来るよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。

「ス」:ありがとうございました。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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