早稲田実業vs日大鶴ヶ丘
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早稲田実、歓喜の瞬間
雪辱晴らす完投勝利 早稲田実4年ぶりの甲子園へ
ちょうど2年前のこの日も、早稲田実と
日大鶴ヶ丘が決勝の舞台に顔をそろえていた。このとき早稲田実のマウンドに上がったのは当時1年生の小野田、そしてリリーフに鈴木も登板した。早稲田実は13対5と大敗しながらも1年生投手の2人への期待は高まった。
しかし,その後は中々、思うような結果が出せず、いつのまにか早稲田実の投手陣は心配の種となっていた。あの日マウンドに立っていた小野田は今夏から野手に転向。2年前の雪辱と投手陣の維新をかけてマウンドに上がった鈴木は和泉監督も想定外の完投勝利を収め、4年ぶりの甲子園出場を決めた。
早稲田実の鈴木は四死球8、毎回のようにランナーを背負いながらの苦しいピッチングになった。しかし気迫のこもった球でピンチを凌いでは雄叫び上げた。
守備でもショート真鍋が好プレーでチームを盛り立てた。打線は3回に今大会当っている3番安田の犠牲フライで先制、7回にも同じく安田のタイムリーで1点を追加した。またこの試合では6番菅井が4打数3安打と当っており、8回に3ベースを放つとこれを手堅くスクイズで攻めて3点目を入れた。
ここまで毎試合2ケタ安打の強力な打線で勝ち上がってきた早稲田実だったが、バントを絡め巧みに試合を動かした。
日大鶴ヶ丘の萩生田監督は「エラーをなくして失点を抑え、相手が崩れるまで粘りたい」と守備を重視していたが、先制された1点目はバッテリーエラー、7回の2点目はシングルヒットの打球を後ろにそらして2ベースにしてしまうなど、エラーが失点につながってしまった。攻撃でも残塁が12、バントミスもありチャンスに得点ができなかった。
試合終了後、他の部員が泣き崩れる中でエースの岡崎はなかなか涙を見せなかった。しかし早稲田実の喜ぶ姿をじっと見つめたあと涙がこぼれだした。スタンドの部員からは「泣くな!笑鶴だろ!」と声がかかった。
日大鶴ヶ丘
の3年生のTシャツには「笑鶴」と書かれている。今年のチームは面白いチームなのでよく笑っていますと、部員が口をそろえて話した。笑いの中心になっているのは古俣と久住。試合では二人並んでベンチの真ん中に立って声援を送り、熱が入りすぎるとベンチから身を乗り出しすぎて部員に注意される姿もあった。ネクストバッターに声をかけたり、守備に向かうエース岡崎の背を力強く押したり、気がつくと誰かに声をかけて最後は笑って選手をグランドに送り出していた。グランドではキャプテンの石田がずっと声を出し続けていたが、ベンチでもそうやって戦っている選手がいた。古俣は「常に選手を笑わせることをモットーにしています」と我慢が強いられる試合が多かった日大鶴ヶ丘のベンチを笑顔で支えた。
今年の西東京大会は最後にきて準決勝で日大対決と早早戦、決勝では2年前のリベンジと組み合わせの妙が熱戦に花を添えた。
また巡って次の戦いを生むのだろう。
兄弟対決を制し、2年前のリベンジを果たした早稲田実。今度は甲子園で4年ぶりの全国制覇を目指す。
(文=高校野球情報.com編集部)