試合レポート

神戸国際大付vs育英

2010.07.24

2010年07月23日 明石球場  

神戸国際大付vs育英

2010年夏の大会 第92回兵庫大会 3回戦

一覧へ戻る


8回裏、松村がスクイズを決める

神戸国際新時代。

 そもそも、こんな見方をすること自体が、間違いなのだろう。
「国際も、粘り強いチームになったなぁ」という、うがった見方である。

 戦前から投手戦になるだろうと予想された優勝候補同士の対戦は、期待を裏切らない白熱した投手戦の展開になった。こういう戦いになると、勝者と敗者が分かれるのは、主砲の一発かちょっとしたミスで決まるものだ。

神戸のやんちゃくれ個性派集団と揶揄され、接戦に弱かった過去の神戸国際大付からすれば、戦い難い試合展開なのである。ところが、今の神戸国際大付に、そんな脆さはない。

 1回裏に神戸国際大付が1点を先制、

育英

がすぐさまの2回表に追いつく。そこからは投手戦になった。8回表に、神戸国際大付のエース・岡本にアクシデントが起こり、緊急降板することになったが、交替の大川が好投を見せ、投手戦の様相は変わらなかった。

8回裏に、神戸国際大付が1点を勝ち越すものの、9回表に

育英

が二死からの連打で追いついた。意地と意地のぶつかり合いである。最後は神戸国際大付の気迫が勝り、二死満塁から、代打・寺田の中前適時打で試合は決した。終盤はひとつひとつの細かなプレーが試合を左右したが、それでも、神戸国際大付は崩れなかった。

「うちらしい試合。去年の秋から、守備を自信にしてきたので、そういう試合で勝てた。競ったら負けない自信はある」。そういったのは二塁手の真野である。

試合経過を流し気味に書いたが、この試合は細かな部分で、終盤での守備力の差が出た試合でもあった。8回裏、神戸国際大付の攻撃、無死から真野が出塁した後、

育英

はフィルダースチョイス、ボークなどを立て続けに犯し、リズムを失っていた。9回裏のサヨナラにしても、石井の右翼前安打から、犠打エラーと続きピンチを拡大させていたものだったのだ。神戸国際大付は無失策だったから、この差は大きい。

いってみれば、真野の言葉は、神戸国際大付が過去のチームとは違った強さを身につけていることを如実に語ったものであったのだ。青木監督は過去のことを引き合いに出して、「個性派集団」と言われることを良しとしない。「昔はこうだったからとかは、今の子らには関係ないでしょ。そんな言うんはやめにしましょ。もうエエやろって思うんです」と以前に話してくれたことがある。

過去のイメージだけで、彼らの印象を語るのは得策ではない。今、ここで彼らが展開する野球、それが真実なのである。

「こういう展開で、フィルダースチョイスとかは、致命的なミスでしょ。そういうがこっちには出なかったんでね、よう粘ったんちゃいますかね」。青木監督はそういって、勝利の味を噛みしめた。

激戦区・兵庫には神戸国際大付の、新時代が到来しようとしている。

(文=氏原 英明


[:addclips]

[:report_ad]

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.23

「松坂さんを超える投手になる」偉大な先輩を夢に見る横浜のスーパー1年生が最速147キロを計測!4回5奪三振完全投球で決勝進出に貢献!

2024.07.23

全国トップレベルの投手陣が打ち込まれる…仙台育英、被安打19、8失点で15年ぶりの決勝戦敗退

2024.07.23

横浜がサヨナラ勝ちで決勝進出! 1年生右腕が147キロ計測で4回0封!春王者・武相との激闘制す!

2024.07.23

変則投手にも動じない今年No.1スラッガー・石塚裕惺(花咲徳栄)、知られざるルーティンとは?【24年夏・埼玉大会】

2024.07.23

センバツベスト4の中央学院が8回コールド負け…頼みの投手陣が打ち込まれる

2024.07.20

伊集院の好左腕・新藤、終盤力尽き、鹿児島実に惜敗【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.20

枕崎が1時間半遅れの試合でも集中力を発揮!堅守を発揮し、2年連続の8強!【24年夏・鹿児島大会】

2024.07.21

【中国地区ベスト8以上進出校 7・20】米子松蔭が4強、岡山、島根、山口では続々と8強に名乗り、岡山の創志学園は敗退【2024夏の甲子園】

2024.07.20

【夏の逸材123人成績速報】198センチ左腕、世代屈指のスラッガー、大分の県立に現れた150キロ右腕などドラフト候補が大活躍!北海道NO.1左腕がプロ志望を表明

2024.07.21

愛工大名電が今夏3度目のコールド勝ちでV4に前進!長野では甲子園出場37回の名門が敗退【東海・北信越実力校20日の試合結果】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」

2024.06.27

高知・土佐高校に大型サイド右腕現る! 186cm酒井晶央が35年ぶりに名門を聖地へ導く!

2024.06.24

愛媛の組み合わせ決定!今春優勝の松山商・大西主将は「どのチームと闘っても自信をもってベストなゲームをしたい」シード4校主将が意気込み語る!