試合レポート

市立川越vs坂戸西

2010.07.23

2010年07月23日 大宮公園球場

市立川越vs坂戸西

2010年夏の大会 第92回埼玉大会 5回戦

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丹羽(市立川越)の好打

好投手長島が打たれ、秋春4強の坂戸西まさかのコールド負け

よもや、こんな結果になるとは予想だにしなかった。西部地区の好チーム同士の対決。勝手知ったる同士だが、坂戸西が勝つのであれば2~3点勝負。市立川越が勝つのであれば5~6点勝負になると思っていた。ところが、いきなり4点ずつが入るという展開は、当初から見る側もする側もゲームプランが崩れてしまった。

 市立川越打線はとにかくよく打った。今年は、打撃のチームに仕上がっていることは十分わかっていたのだが、夏に向けてここまで仕上がっているとは驚きといってもいい。初回は、せっかくの無死の走者をエンドラン失敗で2死走者なしとしてから、4連打で先制。その裏に4点を返されたが2回にも2死走者なしから一番河野以下、橋本、清水、彌田、丹羽と3本の二塁打を含む5連打で4点を返して再逆転。3回にも狩野が左前打するとバントなどで三塁まで進めて、川野のタイムリーでさらに1点。これで、試合のペースは完全に市立川越が掴むこととなった。

 自分の投球リズムを先に掴んだのは市立川越の大岩根だった。決してスピードがあるわけではないが、丁寧にコースを突いていける左腕である。2回を3者凡退としたことで自分の投球リズムを掴んだ。
 思わぬ失点でリズムが狂った好投手長島は、制球力は抜群なのだが元々ストレートとヨコの変化がメインという投球パターンだけに、市立川越打線の攻略方法としては外の球に絞っていったことも功を奏したといえそうだ。6回にも三番清水以下、彌田、丹羽と3連続二塁打を放ち、ついに長島はKOされるような形でマウンドを降りた。

 リリーフした下手投げの今田投手は、その後を抑えたものの、8回には江澤の右中間三塁打などで2点を奪われ、結局8回コールドゲームとなってしまった。

 思わぬ大勝に市立川越の新井清司監督もびっくりした様子だった。「オレは何もしていないんだよね。ただ、外の球に絞っていけという指示を出しただけなんだけど…。打線については、ここへ来て5年目になるけれど、一番力はあると思っているから、ある程度は打てるとは思っていましたけれどもね」と、言いつつその背景には、冬のパワーアップトレーニングもあったということをあかしてくれた。

 昨秋、今春と準決勝で浦和学院に惜敗して、この夏こそ改めて強い気持ちで「打倒浦学」を掲げて挑んだ坂戸西だったが、結果的にはその手前で屈してしまった。「甲子園へ行くチームと行かれないチームというのは、好成績を残した秋や春から、どれだけ戦力をきっちり維持できるかということでもあるんでしょうね。長島を中心として作ってきたチームだったんですが、負けるとしたらこういう形もあるかなとも思っていたのですが…、長島も後背筋を傷めていてそれを誤魔化しながらここまで来たということもあるんですよね」と、さすがに肩を落としていた。

それでも、「ちょっと、数日ウジウジしていますが、高校生はこうした挫折を繰り返しが次の入口になっていくんですよ。ボクも同じなんですけれども、こうして挫折しながらまた、次へ向けてまた頑張りますよ」と、指揮官として、教員として自分自身を励ますように気持ちを切り替えようとしていた。

(文=手束 仁


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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