成田vs習志野
![](/images/report/chiba/20100724003/photo01.jpg)
成田の“唐川2世”が中川
12球連続直球勝負!成田の“唐川2世”が山下沈める
成田の“唐川2世”が連続12球の直球勝負で習志野4番山下斐紹との注目対決を制した。千葉県大会準決勝、
習志野
対
成田
は高校通算35本塁打でプロ11球団がマークする習志野・山下とMAX143kmの直球を投げ込む成田・中川の対決に注目が集まったが、中川が山下と対峙した6回2死2塁、8回2死走者なしの終盤2打席で連続三振を奪取。いずれも1点差の緊迫した場面での2打席だったが、中川は投じた12球全て直球で連続三振に討ち取り、12年ぶり(98年は東千葉大会)となる決勝進出の立役者となった。
悔いの残る一球が本来の直球勝負を徹底させた。3回まで1四球のみの無安打投球を続けていた成田・中川だが、4回1死から3番福田将儀を2-0と追い込みながら頭部への死球をとしてしまうと、次打者山下に対しては過剰な警戒心が裏目に出てしまう。毎球のようにけん制を挟むことで、打ち気に逸る山下を十分に焦らしたところまでは“作戦通り”だったが、捕手・近藤智椰のサインに首を振って投じた低めのチェンジアップを右翼線へ運ばれ、先制点を献上してしまった。
決して甘いボールではなかった。だが、巧さと強さを兼ね備える山下に小細工は通じなかった。中川の投球に力強さが増したのはここからだ。力のある直球をコースへズバズバと投げ分ける持ち味の投球で山下の二塁打後7回無死まで再び無安打投球。6回2死2塁に迎えた山下との再戦では全て130km台後半の直球で攻めて7球目、外角高めの138km直球で空を切らせた。駆け引きなしの力勝負で勝利。そして8回の最終対決も直球勝負は変わらない。2試合連続本塁打中の山下に対し、ここでも138kmの直球から入ると2-2からの5球目、140kmの外角直球で大会ナンバー1の強打者を2打席連続三振。仕留められた山下は「相手の方が上だった」と認めるしかなかった。
冬場、通常の公式球より約100グラム重い240グラムの特殊球を1日おきに50~60球投げ込んできたことで身につけた直球の伸びとスタミナには自信がある。この日対戦した習志野は、昨秋の県2回戦で初回に大量10点を失い、ノックアウトされた因縁の相手。当時は左足脛に疲労骨折を抱えたままの投球だったが、まるで歯が立たなかった。だが「自分に自信をもって投げられるようになった」この夏の中川はもはや別人だった。勝田の右翼本塁打で4-1とした直後の7回に3安打を集中されて再び1点差とされたが、3ボールからでも簡単にストライクを続けられる制球のよさと「ピンチで動じないところは(成田の先輩で現千葉ロッテの)唐川さんにも勝っていると思います」と言い切る精神的なタフさで、アウトカウントを重ねていった。
9回は先頭の5番宮内和也に中前打を放たれ2塁に走者を進められたものの、4球ファウルで粘られた代打渡邉哲、そして8番高橋亮太を連続三振でゲームセット。12個目の三振で試合を締めると中川は両拳を突き上げた。これで20年ぶりの夏の甲子園まであと1勝。成田の尾島治信監督が「(最終回中川の球筋が)キレイだなぁ、と。(打者が)空振りしたことに気づかなかったくらい」と評した“美しい”直球を投げ込み、「ピンチで動じない」“唐川2世”が成田を偉大な先輩でも成し遂げられなかった夏の甲子園へと導く。
(写真・文=吉田 太郎)
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習志野 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 3 | ||||||
成田 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | X | 4 |
習志野:末松、高橋-山下 成田:中川-近藤
本塁打:勝田(成) 三塁打:高橋、木村(成) 二塁打:山下(習)