試合レポート

東海大望洋vs木更津総合

2010.07.22

2010年07月21日 千葉県営球場

東海大望洋vs木更津総合

2010年夏の大会 第92回千葉大会 5回戦

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エース長友,勝利の瞬間(東海大望洋)

東海大望洋エース長友完投勝利!キャプテン坂本六打点!粘る木更津総合を振り切りベスト8進出!

ベスト8をかけた五回戦の戦い、21日の千葉県営球場第三試合は

木更津総合

東海大望洋戦。おととしの東千葉大会決勝のカード、実力校同士の対戦となった。

昼過ぎから気温が上がり千葉市で37度を超えるという記憶にないほどの灼熱の陽気となったこの日。県営球場に入ると夏休みに入ったということで小学生たちの姿が目立ち今までにない雰囲気。予想以上に混んでいたのでバックネット裏最前列に座るやいなや、試合の熱気と共に強い陽射しが合わさりまるでサウナ、気を確かに持ってないとめまいが起きそうなすざましい暑さを体感。グランドでプレーしている選手たちは更に厳しい環境下での試合となった。

今春センバツ出場を果たしたもののセンバツ帰りの春季県大会では初戦の二回戦で

専大松戸

に9-2の七回コールドで敗戦した東海大望洋。エース長友の復調ぶりが注目された。また

木更津総合

のほうはいかにして好投手長友を打ち崩してゆくのかがポイントとなりそうな試合。

木更津総合

佐々木、東海大望洋・長友、両校ともエースナンバーを背負った投手が先発し酷暑の中試合が開始された。

いきなり試合は動いた。一回裏東海大望洋の攻撃、

木更津総合

の佐々木を攻め一死二塁三塁から四番坂本がセンターに抜けるタイムリーを放ち二点先制、尚も七番天川八番那須に連続タイムリーツーベースが飛び出しこの回一挙五点先制、5-0とし試合の主導権を東海大望洋が握った。

対する

木更津総合

二回の表の攻撃、四番城戸五番郡が連続安打を放ちノーアウト一塁三塁。六番佐々木のショートゴロの間にホームをつき一点先制。尚も満塁と東海大望洋長友を攻め立て一番酒井が押し出しを選び追加点、5-2と二点を返した。切れのあるストレートはくるもののそれでも制球が安定しない長友、立ち上がりに不安をみせた。初回に五点は取られたがその直後に二点を返した

木更津総合

、試合の流れはまだどちらに傾くかわからない展開。

その後両投手とも立ち直りをみせ迎えた四回裏東海大望洋の攻撃、追加点をあげ試合の流れをつかみたいところ。九番長友がセカンドの頭を越してゆくツーベースで出塁すると一番鈴木もよく球を見極め四球で出塁。二番加藤のバントがヒットになりノーアウト満塁の大チャンス到来。一死後ここでも東海大望洋キャプテン四番坂本が前の打席に続き二点タイムリーを放ち7-2、更に代わった

木更津総合

のピッチャー大高を攻め立て二死満塁とするもののここは大高が踏ん張りをみせた。

がしかし五回裏東海大望洋の攻撃、この回一点を取りさらに一死一塁二塁から三度坂本が代わった黄本から二点タイムリースリーベースを放ちこの回計三点を入れ10-2、一気に点差を八点とし予想に反して東海大望洋のコールド勝利も見えてきた展開となった。

しかしここから

木更津総合

が粘りを見せた。一塁側スタンドからは点差が離れている状況でも木更津総合ファンの子供たちから「がんばれ~!」の大声援、そんな声援を背に六回表反撃に出た

木更津総合

。三番大胡のヒット、五番郡の四球で一死一二塁、代打森の際東海大望洋にエラーが出て一点、再度代打三国が一死二三塁からタイムリーを放ち10-4、追い上げを見せる

木更津総合

。六回裏からピッチャー黄本に代えて角張に交代。その角張がよくしのいだ後の7回表、二番西本が四球で出塁、一死一塁から三番大胡がタイムリースリーベースで10-5。更に続く四番城戸もタイムリーで続き10-6、盛り上がる一塁側

木更津総合

応援団。一時八点差あった点差を四点差まで追い上げる怒涛の反撃をみせた。

四点差であと三回の攻撃を残した

木更津総合

、更なる反撃に望みをつないだがそこは東海大望洋エースの長友がしっかりと食い止め木更津総合の流れを断った。立ち上がりこそ制球がみだれ隙をつかれた長友であったが、回を増すごとにストレートの威力、速さ、切れが増し

木更津総合

の各打者をストレートで三賑、もしくはつまって内野ゴロに打ち取るシーンが多くみられ試合後半粘りをみせた木更津総合をこのまま振り切り、明日の準々決勝、ベスト8へ駒を進めた。

エースの立ち上がりの不安定さをリード面、そしてチャンスにことごとくバットで期待にこたえこの試合六打点をあげた東海大望洋四番坂本の勝負強さが際立った試合となった。また立ち上がりの制球に不安をみせたこの日の長友ではあったがストレートは威力抜群、肩の調子は春からだいぶ戻ってきているという印象を受けた。春季、春季関東とスタンドで見ていた長友のストレートと比べてもこの日の球の力はそれ以上の速さと力強さだった。長友の制球が安定してくるようだと坂本を中心にして打撃が好調なだけに一気に頂点へ駆け上るのではと思わせた今日の試合、もしかしたらば東海大望洋、エース長友にとってはこの日の制球の不安定さを危惧するよりもストレートに手ごたえを掴んだことのほうが大きかったかもしれない。東海大望洋エース長友の復調は今後確実に各校の脅威となる。

またチャンスの時、各打者にベンチから身ぶり手振りを交えメガフォンを使い大きな声で指示を出していた東海大望洋相川監督。その声はかすれ切っており、今大会、今日の試合にかける強い意志が伝わってきた。今春のセンバツ出場が決まった際の取材でも力強く甲子園で勝つとコメントを返してくれた相川監督、この夏の大会は更にもう一度甲子園へ戻って春の借りを返すんだという気迫が感じ取れた。

一方の

木更津総合

、敗れたとはいえ一時の八点差つけられた試合をなげることなく反撃をみせ四点差まで追いついた粘りは見事だった。途中から出場した長身キャッチャーの福綱、そしてピッチャー角張やレギュラー陣にも二年生が多いだけに今秋からの戦いぶりにも注目が集まる。敗れてなお強しの印象をうけた。

それにしても異常な暑さ、球場ではさかんに熱中症に注意のアナウンス。スタンドで観戦している人たちはもとより、グランドでプレーしている全国の高校球児たちにもぜひとも万全な対策で不慮の事故などが絶対ないようにしてもらいたい。

おととし決勝の借りを返し準々決勝に駒を進めた東海大望洋、22日千葉マリンスタジアム第二試合で本日

学館浦安

との浦安対決を制した

浦安

と対戦。エース長友の投球同様、この日投げなかった東海大望洋二枚看板尾澤の投球にも注目、二枚がしっかり揃うようだといよいよ頂点が見えてくる。

(写真・文=国吉 辰一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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