試合レポート

帝京第五vs松山商業

2010.07.19

2010年07月18日 坊ちゃんスタジアム 

帝京第五vs松山商業

2010年夏の大会 第92回愛媛大会 2回戦

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橋本(松山商3年)

「夏将軍」復活へ 序章となる敗戦

【試合経過】
1回表、帝京五は松山商の守備の乱れを見逃さず、4番・早瀬大志(2年)の2点タイムリー3塁打などで3点を先制。続く2回にも相手の1年生先発・高木ちからの制球が甘くなったところを3番・谷口康(3年)、早瀬の連続タイムリーでつけこみ、試合を有利に進める。
一方1回裏に4番・渡部圭介(3年)のタイムリーで1点を返した松山商は、2回途中から高木をリリーフした橋本健太郎(3年)の粘りもあって徐々に劣勢を挽回。
最終回には2点を返し2死2・3塁と一打同点まで帝京第五を追いこむも、野村塁(3年)からマウンドを引き継いだ2年生左腕・井上和紀の気迫に、あと一本が出なかった。

【インサイドレポート】
6月26日、これまで数多くの先人が流した汗と涙が染み付いた松山商グラウンドでは、土砂降りの雨にもかかわらず強化練習の締めとなる3年生への個人ノックが行われた。

重澤和史監督、程内大介部長、そして手伝いをかってでたOBによる速射砲のようなノックでたちまちユニフォームが泥に染まっていく3年生たち。特にエースナンバーを背負う橋本健太郎(3年)と重澤監督との「戦い」は壮絶を極めた。

「彼には心の弱さがある」とかねてから指摘していた重澤監督の容赦ないノックにより、次第に声が出なくなり、足も動かなくなっていく橋本。すると指揮官はバットを置き、動けない彼の目の前でボールをトスし、チームの命運を握るエースとして限界を超えるプレーを要求した。

すると橋本は再び立ち上がり、最後までボールに食らい付くように。そして1つのボールを通じた対話を終えて、握手を交わした重澤監督と橋本の間には、監督と選手という関係以上の熱き信頼関係が構築されていた。

かくして迎えたこの帝京五戦。5点を失った先発の高木ちから(1年)に代わり2回途中からリリーフに立った橋本は、9四死球を与えながらも無失点。「今までやってきたことを信じていれば、絶対勝てると思った」という言葉を自らの態度で示したのだ。

しかし試合は9回一打同点まで追い込みながら今年、開幕戦となった松山南戦で3年ぶりとなる夏1勝はあげたものの、「夏将軍」復活への道はまだ半ばにある松山商。この日橋本が見せた魂のピッチングは、古くは景浦将(元阪神)、千葉茂(元巨人)に始まり、西本聖(元巨人など)、水口栄二(現:オリックス打撃コーチ)など、先人たちが築いてきた100年以上に渡る松山商業硬式野球部の歴史に刻まれ、試合後、見逃し三振で試合を終えてしまった悔しさで号泣していた西森大騎(1年)などの下級生たちへと確実に受け継がれていくはずだ。

(文=寺下 友徳


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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