ルーテル学院vs熊本学園大付
![](/images/report/kumamoto/20100711002/photo01.jpg)
大村翼(熊本学園大付)
2年生右腕の投げ合い
均衡が破れない――。
両チームのベンチ、スタンドが固唾を呑んで見守る中、
・村田健、熊本学園大付・大村翼の投げ合いは一歩も譲らないままスコアボードに“0(ゼロ)”を並べた。
3年生にとって最後の夏、そして初戦というプレッシャーの中、両チームのマウンドに立ったのは2年生の右腕だ。その二人はプレッシャーを感じさせない素晴らしい立ち上がりをみせた。そして、それに応えるかのように守備陣も投手を盛り立て、試合はリズムよく回を重ねていく。
そして8回裏、遂に均衡が破れた。
ルーテル学院
は、この回、先頭の3番・堀尾将志が中前安打で出塁すると犠打で進め、7番・奥原幸利の放った打球はセンターの前にポトリと落ちた。これが適時打となり、貴重な1点をもぎ取った。
そして、
の背番号10・村田健は、この1点があれば、十分だった。身長185cmの長身から角度あるストレートとスライダーを低目に集め、熊本学園大付打線を4安打完封。緊迫した投手戦を制した。
惜しくも敗れた熊本学園大付。
被安打7と完投した2年生エース大村の踏ん張りは勿論、チーム全員の“全力疾走”も際立っていた。
どんな打球を放っても全力で一塁を駆け抜ける。そしてアウトになってもベンチへ全力疾走で戻る。
選手の走る姿から“チームの気持ち”が伝わってくるようだった。
全力疾走といえば、ガチガチのように聞こえるが、全くそれを感じさせないところが学園大付属である。最高の笑顔をみせ、伸び伸びとプレーする姿は、常に野球を楽しんでいるようにみえる。
同校の坂本博之監督は「力的には強豪校に及ばないが、全力疾走など自分たちでできることをやってきた」。
その全力疾走と伸び伸びプレーの融合は、随所にビックプレーを生みだした。
6回には遊撃手の古閑雄大が横っ飛びでキャッチすると素早い送球で間一髪アウト。ベンチへ戻る古閑は、最高の笑顔をみせ、ナインとハイタッチ。そして監督ともハイタッチ。ピンチを切り抜けたエースが戻ってきた時は、監督が優しく抱き寄せる。そんな坂本監督のパフォーマンスは、選手の心をとらえ、チームが一つになっていた。
しかし、1時間47分。あまりにも短い夏が終わった。
試合後、2年生エース・大村は「3年生ともっと野球をしたかった」と泣き崩れた。
その涙は、悔しい気持ちの表れであると同時に全力を出し切った証拠でもある。
エース・大村翼。先輩の想いを胸にあと1年間、高校野球ができる。
そして “あの涙があったからこそ”と思えるような飛躍に期待したい。
(文=PN アストロ)
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