熊本工vs鎮西
![](/images/report/kumamoto/20100718001/photo01.jpg)
主砲・今村(熊本工)
男の勝負
気温34℃――。
暑い藤崎台県営野球場で、熱い“男の勝負”が行われた。
3回戦屈指の好カード“熊本工vs鎮西”である。
初回、熊本工は2死満塁のチャンスに6番・山田祐揮が適時二塁打を放ち2点先制。
それに対して鎮西は4回、阪本裕太郎と村上熙明の連続長打でチャンスをつくると7番・岡本捷平がスリーバントスクイズを決め、まずは1点を返す。さらに8番・諸永秀幸の打球は相手失策を誘い同点。
しかし、5回、流れが変わった。熊本工は、死球で出塁した高濱靖浩を置いて、9番・月田雄介が放ったライトへライナー性の打球を右翼手・柿原翔樹がダイビングキャッチ。捕ったと柿原がアピールし、送球するもその間に高濱がホームイン。
熊本工は、この流れを一気に引き寄せ、さらに1番・江崎信仁と3番・石田智揮の適時打で2点追加。
トドメは、4番・今村裕一郎が左中間スタンドに突き刺さる2点本塁打を放ち、追う鎮西を一気に突き放した。
しかし、熊本工の4番が打てば、鎮西の4番も負けていない。
8回裏、この回の先頭は4番・柿原翔樹。
熊本工のエース・月田雄介はストレートで真っ向勝負にでた。
柿原はインコース高めのストレートを強振。打球はレフトスタンドへ放り込まれた。
「月田さんはインコースで勝負してきたので、思い切っていきました」。
これで今大会、柿原は初戦に続き、2試合連続本塁打となった。
試合後のインタビューで柿原は「熊本工の4番・今村さんが打った(本塁打)ので、4番の意地です。打たれたなら打ちかえそうと思いました」。
それに対し、今村は「柿原が2試合連続本塁打を打ったので悔しかったですよ。しかも2年生ですからね」と年下の県内屈指のスラッガーにライバル心をみせながら、試合途中のすれ違った時に今村は柿原に声をかけていた。
「ナイスバッティング――」。
本塁打を打ち返した年下のスラッガーを実は称えていたのだ。
「今村さんが県内で一番打つバッターだと思っていたのでずっと尊敬していました」という柿原。
試合終了後の挨拶で、「ありがとうございました」と柿原が今村に握手を求めると尊敬する今村から「頑張れよ」という言葉をかけられた。本当に男らしく、4番にふさわしい二人である。
鎮西は最終回、3年生を代打に送った。その代打で登場した二ケタ番号を背負った背番号15の渡邊直樹、背番号13の青木勇大は、最終回という場面に臆することなく積極的にバットを振っていった。そして青木の打球は右翼手の頭を越える二塁打となった。この3年生の積極的な気持ちと勇気は今年の鎮西を表しているかのようだった。
そして、忘れてはいけないのは鎮西のエース・牛嶋一成だ。
感謝の気持ち、そして自信をつけるために昨秋に自ら学校中庭にある学校理事長の銅像磨きを始め、この日も銅像磨きを行ってからマウンドに立った。4回まで1安打ピッチングと好投したが、5回に打たれた。4番・今村にカウント、2ストライク3ボールから勝負にいった。銅像磨きを継続することで培った気持ちがこの場面でも表れていた。結果的に打たれたが、歩かせてもいい場面で4番相手に堂々と投げ込んだ“男の気持ち”を称えたい。
同校の江上寛恭監督も「エースの牛嶋は男らしくなりました。今日は本当によく投げた。」と最後に力強く語ってくれた。
10-3。この試合、点差以上に“男の勝負”に見応えがあった。
(文=PN アストロ)
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熊本工 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0 | 0 | 0 | 3 | 10 | ||||||
鎮西 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 |
熊本工:月田-高濱 鎮西:牛嶋、坂田、瀬尾-阪本
本塁打=今村裕(熊)、柿原(鎮) 三塁打=山田祐(熊)
二塁打=山田祐、石田、糸永(熊)、阪本、村上、赤木、青木(鎮)