海城vs都立篠崎
第一試合の再現!?海城も主将の一振りで劇的勝利
「あ…!そういえば、第一試合も9回で2点差だったな」。
海城、2点を追いかける9回表。主将・出口翔大三塁手(3年)の頭に、第一試合・駿台学園vs二松学舎大付が過ぎった。駿台学園が9回に2点差をひっくり返した試合。海城ナインは、待機するベンチ裏から見守っていた。「勝ちたい気持ちが駿台学園のほうが上だったのかもしれない」。すぐに気持ちを切り替えて試合に臨んだ。が、自分たちと同じような攻防に、試合中でも一瞬思い出したという。
9回1死から2四死球、安打で満塁に。球場のボルテージは最高潮だ。興奮でテンポが早くなる応援に、吹奏楽部の演奏がついていけない。そんな中、出口が打席へ入る。
「8回、先頭で塁に出られなかった。これで終わりか、と思ったんです。でも、仲間がチャンスを作ってくれた。まだ、みんなと試合を続けたい」。
ストレート一本勝負。カウント1-1からライト線へ痛烈な打球が飛んでいった。走者一掃の逆転タイムリー。出口は頭から三塁ベースへ突っ込んだ。「絶対抜けると思った。ヘッドスライディングは気持ちです」。主将らしく、高まる感情を落ち着かせて振り返る出口。ときどき笑うと見える白い歯には、土がついたままだった。
(文=矢島 彩)