坂戸vs八潮南
![](/images/report/saitama/20100710003/photo01.jpg)
竹谷(坂戸)
力を尽くした好投手戦は延長の末、坂戸が辛くも逃げ切る
坂戸・竹谷、八潮南・石井和、ともにスライダーを武器とする右腕投手だが、低めへの制球力と球のキレ味そのものがよく、見ごたえのある投手戦となった。
お互いに、立ち上がりは初戦の緊張感もあったのだろう。石井和は先頭打者に安打され、死球などもあってピンチを招いたが何とか抑えた。竹谷は2死から須賀君、石井和に連打され四球で満塁にされ、六番清水が右中間へ運んで二者を返され、八潮南が先制した。これに対し、坂戸もすぐに2回、2死二塁から九番長野が中越二塁打して1点差とする。
もっとも、ここまではこの後に続く、手に汗握る緊迫の試合のプロローグだった。
4回にはお互いに外野手の好返球があって本塁で走者を刺すなど好プレーもあった。それ以外にも、よく鍛えられているという印象の内野陣は相次いで好フィールディングを披露していた。投手のリズムがいいので野手も守りやすかったということもあるのだろう。
こういう展開の試合は次の1点の入り方がポイントになるだろうと思っていたが7回、坂戸は先頭の七番小久保が右中間へ三塁打すると、続く刀根の中犠飛で同点とした。結局、試合はそのまま延長に突入した。10回も簡単に2死となったが、坂戸はそこから一番基岡が失策で出塁すると、藤間も三遊間を破って一二塁。さらに、岡部も初球を叩いて同じような位置に安打して満塁。四番竹谷と石井和との勝負となったが、勢いに勝る坂戸は竹谷が左前へ運んで二者を返した。一塁側の坂戸ベンチはサヨナラ勝ちを決めたかのような大騒ぎだった。
ところが、
八潮南も粘った。その裏、1死後三番須賀君が右前打。つづく投ゴロ併殺かと思われた打球だったが、硬くなったのか送球が悪く一二塁となる。五番石井克はしぶとく一二塁間を破ると、中継ミスもあって二塁走者が帰り、なおも1死二三塁。一転して今度は八潮南が一打で逆転サヨナラという場面になった。勝負どころとなったが、ここで、竹谷が踏ん張って、後続を捕邪飛と三振に切って取って辛くも坂戸が逃げ切って、熱戦は終わった。
試合後は、さすがに
八潮南の選手たちは泣き崩れた。さまざまな思いが交錯するのだろう。試合が競り合えば競り合うほど、そして、見る側にとって面白い試合であればあったほど、敗者には辛い現実となる。それを目の当たりにするのもまた、夏の大会の光景なのだ。
涙にくれる選手たちをねぎらいながら、
八潮南の新井茂監督は試合を振り返った。「思いのほか早く先制点が入ったのですが、中盤に入って次の1点が取れませんでした。もう少し、粘り強い野球をしたかったのですが、それが出来ませんでした。10回に失策の後3連打されたことは結果ですし、その裏に返しきれなかったことも、積極的に行っての結果ですから責められません」。
一方、歓喜の坂戸選手たちを迎えた天野茂昭監督は、「2~3点の試合になるだろうとは思っていましたから、予想通りの展開でした。とにかく、マークもされていたでしょうが竹谷にすべて任せ切りました。
八潮南さんも好チームで、食らいついてきましたが、本当によく抑えてくれましたし打ってくれました」と、好試合を戦った相手とそれを凌いだ竹谷君を称えた。
また、投打のヒーローとなった竹谷は決勝打については、「ここで決めれば勝てると思っていましたから、ストレートに絞って待っていました」。冷静に試合を見つめていた。
(文=手束 仁)
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坂戸 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 4 | |||||
八潮南 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
坂戸:竹谷―東海林 八潮南:石井和―須賀
延長10回