都立東vs順天
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マウンドに集まる都立東ナイン
二転三転の接戦は、最後気持ちで上回った東がサヨナラ打
前半は試合のテンポも遅く、お互いが好機を貰いながらも攻めきれないという、いくらか拙攻戦の展開という印象だった。しかし、中盤からは随所に好プレーも出て、追いつ追われつという好展開となっていった。そして、最後は攻めていこうという気持ちが少し勝った東がサヨナラで下すという2時間31分だった。
2点を追う都立東は8回、2死三塁から失策で1点差とすると、なおもインターフェアがあってチャンスを広げ2死一二塁となる。ここで、二番橋口君の思い切りのいいスイングからの左越二塁打で逆転した。この回の都立東の攻撃は安打で出た池貝君が二盗、三盗という積極的な攻めも鮮やかだった。
それでも、
順天も粘った。9回、勝ちを意識したのか6回途中からリリーフして淡々と投げていた吉岡君が硬くなり、連続四球。三番畑山君はすかさず一塁線を破る二塁打で同点。さらに、無死二三塁で
順天は願ってもないチャンスとなった。
ここで、都立東の鈴木邦夫監督は満塁策を取り、先制打を放った四番横山君を敬遠。無死満塁の絶体絶命のピンチとなった東だったが、ここを1-2-3の併殺と、飛球で逃れた。ギリギリのところで、吉岡君も粘った。
これで、もしかしたら延長もあるかと思われたところだったが、その裏都立東は死球とバントで1死二塁。さらに、死球とバントで2死二三塁となり、代打で出てそのまま八番に入っていた小泉君。その小泉君は初球を積極的に打ちにいって、左翼手の頭上を越えるサヨナラ打となった。代打の打席は三振に倒れていた小泉君だったが、臆することなく積極的に打っていく姿勢がよかったのだろう。「何とかしたい」という気持ちが勝ったともいえる一打だった。
試合後、
順天の杉野光永監督も、「結局、メンタル面の差でしょうか。どこかで妥協してしまう弱さと甘さがあると、こういうところに表れてしまうんですね。普段の日常生活でも、ほとんど悔しい思いをしたことのない子たちですから、こういう悔しい思いをすることもあるのだということを糧としてもらえればと思いますが…。でも、3年生の最後の試合がこういう形というのは…」と、肩を落とした。
としては6回、六番内野君の左越二塁打に始まってバントで進めた後、九番河田君、一番芦野君の連続三塁打で逆転し、さらに佐野君のタイムリー打で突き放すといういい形があっただけに、やはり8回の守りが悔やまれる。どこかで守りが、攻めの姿勢ではなく、逃げたいという気持ちになっていたのかもしれない。それが、若干消極的なプレーとなり、それが失策やインターフェアを導いてしまったのかもしれない。
それ以上に、序盤に相次いだ好機にあと一本が出ていれば、まったく違う展開になっていたはずである。そういう面からも、やや悔いが残った試合だったかもしれない。
(文=手束 仁)