駒大高vs青山学院
![](/images/report/tokyo/20100704007/photo01.jpg)
岩田(駒大高)
本塁打合戦、駒大高が3発で制す
両校が試合前に並んであいさつを交わしたときは、まるで東都大学リーグの試合かと思えたくらいだ。というのも、大学は東都で優勝実績のある両校、その直系系列校対決でユニホームは両校とも大学にほぼ同じで、見る人にはそんな興味もあった。
先制したのは駒大高で、先頭の佐々木君がいきなり死球で出塁すると青学のややまずい守りなどもあって2死満塁。ここで、六番三浦君が一塁手を強襲して2点。それでも、立ち上がりに制球に苦しんだ
青山学院の阿部君だったがその後は何とかかわして、試合は崩れずに反撃を待つことになった。
そして4回、ここまで3人ずつで抑え込まれていた
だったが、先頭の河野君が左翼線二塁打で出塁すると続く片岡君が左翼へ本塁打してたちまち同点。一気に
青山学院はムードが盛り上がった。さらに、1死で四球と六番高橋君の安打などで2死二三塁とし逆転の好機を迎えた。しかし、ここは駒大高岩田君が踏ん張った。
同点のまま次の動きに興味が向いたところだったが、5回の攻防が結果的に明暗を分けた。
表の
青山学院は三者凡退で終えると、その裏の駒大高は2死から幸田君が四球を選ぶと四番原君が狙いすましたように左翼へ2ラン。さらに、6回にも2死から四球と安打で攻めて、一番佐々木君が左中間にぎりぎりの3ランを放り込んだ。そして、7回にも原君が自身2本目となるソロ本塁打を放って突き放した。
神宮第二球場だから入ったという本塁打もあったかもしれないが、すさまじい駒大高の一発攻勢だった。このリードもあって、後半は、駒大高の岩田君は再び自分のリズムで投球が出来、結果的には走者を出したのは得点された4回だけというものだった。このあたりは、新井塁監督が信頼して先発マウンドに送り出した期待に十分に応えるものだったといっていいであろう。
かつて、
青山学院の高校野球といえば、長髪はいるわユニホームの着こなしもそれらしくないわ、というものだった時代もあった。それが、安藤寧則監督が就任して以来、着実に形も整い実績も上げてきた。それだけに、その思いを遂げたいこの夏だったが、はからずも東都対決の縮小版の戦いで惜しくも初戦で散る形になってしまった。
安藤監督は、泣き崩れる選手を茂久田裕一コーチとかばいながら、「勝てる試合だったのに、結果として流れを呼び込めず、勝たせてあげられなかったのは、自分の責任で3年生には申し訳なかったと思っています。細かいプレーの微妙な力の差が、こういう結果になってしまったと思います。ここまでしか出来なかったことが残念です」と、無念さをにじませていた。
それでも、内野手の深い位置からの送球など、確実に質の高い野球をこなせるようになっている。ここまで取り組んできたことは間違いではなかったということはいえるであろう。
(文=手束 仁)