徳島商業vs生光学園
石倉弘喜投手(徳島商業)
「森影マジック」徳島商を席巻中!
97年から13年間務めた小松島
監督時代には、それまで甲子園出場のなかった同校を春3回、夏1回の甲子園に導いた森影浩章監督。その大胆不敵な采配や思い切った選手起用で他校の監督たちから「森影マジック」と恐れられた知将は、この4月より名門・徳島商
に転任し、母校野球部復活へのタクトを託されることになった。
そしてこの日の生光学園
戦は森影徳商にとって大事な公式戦の初陣。前日まで2日間、創部100周年記念試合として高松商、松山商、高知商を招いての「4商戦」で2試合ずつを戦っていた彼らにとっては、相手と同時に3連戦目の疲労とも立ち向かわなければならない一戦である。
しかし結果から見るとその心配は取り越し苦労であった。
徳島商は1回裏、「バッテングフォームを直して調子が上がっている」(森影監督)増富太鳳(2年)がいきなり内野安打で出塁すると、3番・平野貴則以下が5連打。最後は打者一巡で再び回ってきた増富が満塁走者一掃の2塁打を放ち7得点。6回には生光学園3番手の木下雄介(2年)を捕えての5得点で試合を終わらせてしまった。
さらに昨秋の登録はスコアラー。森影監督就任後に「投手陣全員を見ている中で、柔らかいフォームが目に付いた」ことで一躍エースナンバーを背負うことになった左腕の石倉弘喜(3年)も、前日まで2日間で合計16イニングを投げているにもかかわらず、高校通算23本塁打の河田直人(3年)をはじめ、強力打線の[team]生光学園に対し6安打3失点と「安定感が違う」と指揮官を喜ばれる投球を披露したのであった。
「厳しい指導は前監督(井上力、現・穴吹監督)が十分やってくれていたので、僕はそれにゲーム展開を読むことやガムシャラさを加えるようにしています。それと試合では1球の重みを感じながら確実に『1こずつ』
(アウトカウントを)取る、取られるようにしていきたい。だがら『負けるなら、力負けするチームになれ』と選手たちには言っています」。
試合後、このような独特の表現で現在の指導方針を説明した森影監督だが、躍動感のある攻守と逸材の活躍でつかんだ大勝は、春県大会初戦敗退のショックを払拭する意味でも実に大きい意味を持つだろう。
そして何よりも選手たちの生き生きとした表情は、近年の徳島商業には見られなかったものである。「これまでの伝統に加えて新しい伝統を作る」決意をもって臨んだ「森影マジック」徳商編。その風は早くもチーム内を席巻しているようだ。
(文=寺下 友徳)
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生光学園 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | |||||||||
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徳島商業 | 7 | 0 | 0 | 0 | 1 | 5X | 0 |
生光学園:林佑真、菅野隆成、木下雄介-米田拓二 徳島商業:石倉弘喜-千里昌平