試合レポート

佐久長聖(長野4位)vs新潟明訓(新潟1位)

2010.06.06

2010年06月06日 長野オリンピックスタジアム

佐久長聖(長野4位)vs新潟明訓(新潟1位)

2010年春の大会 第122回北信越地区高等学校野球大会 準々決勝

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完封勝利・高野(佐久長聖)

佐久長聖・高野が3安打完封勝利

「球の威力? ないでしょう。球のキレ? ありましたか? 平凡だと思うんですけど」
佐久長聖・中村良隆監督がそう言って苦笑いするエース・高野悠希が新潟1位の新潟明訓を3安打に抑えて完封勝ち。優勝した昨春に続く2年連続のベスト4入りを決めた。

176センチ、77キロの高野は右の上手投げ。
球速も130キロそこそこ。
変化球もほとんどがスライダーのみ。
中村監督が言うようにオーソドックスな投手だ。

それでも抑えられた要因は何か。
ひとつは、内角へ投げ込む制球力。
初回、味方の失策と四球で招いた1死一、二塁のピンチでは、四番・間藤諒に対してスライダーで追い込んだ後、カウント2-2から最後は内角ストレートで見逃し三振を奪った。

「(打者に)当てる気でインコースは投げてます。あそこにいってくれてよかった。コントロールには自信あります」
言葉通り、高野はこの試合で投じた108球のうち、73球がストライク。
常にストライク先行のため、投手有利で進めることができた。

もうひとつは、テンポのよさ。
ストライク先行のうえ、テンポを速めることで、自分の間で投球することができた。
「それまではテンポがゆっくりだったんですけど、冬のブルペンで練習しました。打者が構えるときに『もう来るのか』と思わせる。あまり考えさせないようにするためです」
言葉通り、考える間を与えず凡打の山を築いた。
試合時間はわずか1時間34分だった。

走者がいなくてもセットポジションから投げる高野。その意図を聞いてみた。
「セットから投げる時点で、スピードは意識してないですね。球を速くしようとはあまり思ったことがない。やっぱり、最後はコントロールじゃないですか」

スピードがあるからいい投手なのではない。
三振を多く奪えるからいい投手なのでもない。
いい投手とは、点をやらない投手、勝てる投手。
高校生投手のお手本となる、高野の投球だった。

(文=田尻 賢誉)
(写真=宮坂 由香


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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