10年春の大会総括~関東大会編~
第14回 10年春の大会 総括 ~関東大会編~ 2010年06月02日
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浦和学院・南
5月15日から5日間、茨城県で行われた第62回春季関東大会は浦和学院の2連覇で幕を閉じた。
1都7県の代表18校に加えて選抜大会で準優勝した日大三が推薦枠として出場。同じく選抜大会に出場した 花咲徳栄 などが参加した今大会を振り返ってみたい。
今大会限定のユニフォームを着て、見事2連覇を果たした浦和学院 は投手陣の層が厚く、なかでも197cmの大型右腕、南に注目が集まった。
そび南は、決勝戦では途中からマウンドに上がり 習志野 の強力打線に6三振を奪うなど好投。このときの立ち上がりに連続四球でピンチを作ったがその後を三者三振で乗り越えた。四球から崩れていくことが課題となっていたため、ここを乗り越えて投げられたのは収穫だろう。
そして浦和学院 は南の他にも、昨秋の県大会を優勝に導いた阿部や力強い球を持つ萩原が安定感を見せ、投手陣の充実を感じられた。今大会からエースナンバーを背負った南がまだまだ成長途中ということで、その不安定さを支えるように守備や打線がチームとしてまとまっていた。
また準優勝の 習志野 は強力打線が謳われているが、守備にも魅せるものがあった。準々決勝の日大三戦では捕手・山下が強肩で盗塁を防いだり、3つの併殺をしっかりと決めるなど、選抜準優勝の日大三打線の大量得点を防いだ。捕手・山下の統率が行き届いた守備はうならせるものがある。
その 習志野 に準々決勝で敗退した日大三だが、選抜大会で見せた長打力は健在。2回戦の 東海大甲府 戦ではエース山崎が序盤に捕まりの6点差をつけられたものの、それをものともせず逆転すると、最後には4点の差をつけて勝利した。 習志野 戦では3本塁打で終盤に1点差まで迫る打線は対戦相手にとって脅威的。しかし序盤に点差をつけられてしまう試合運びに、投手陣への不安が残る。夏に向けて投手陣の整備が甲子園春夏連続出場への課題となった。
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マウンドに集まる習志野ナイン
ベスト4に入った横浜創学館 は球際に強い守備の軽快さが観ていて気持ちが良い。それだけにピンチになると硬さが出るのか声が止まり守りのリズムを悪くしてしまうのはもったいない。今大会で関東大会初勝利からベスト4まで勝ち進んだことを自信として、精神面でもたくましくなって欲しい。
また今大会は、来るべき夏を見据えて2番手3番手の投手の育成に取り組んだ高校が多かった。五明・橋本の好投手を配する選抜出場の 花咲徳栄 は1回戦で敗退したが2年生・松本が1失点で投げぬいた。計算できる投手が一枚増えたのは夏に向けての好材料だ。
その他には、東京代表の 日大鶴ケ丘 は、2回戦ではエース・岡崎を温存。岩崎や東京大会の決勝を完投した岡に2回戦の 前橋商業 戦を任せた。この試合では 前橋商業 もエース野口ではなく狩野が登板、苦しみながらも2失点で勝利した。連戦になっていく大会を通して、各高校とも投手陣はフルに力を試された。
関東大会で力不足を露呈したのが関東15連敗と記録を更新してしまった栃木県と、開催地の茨城県。茨城県からは4校の枠があり、1位の 下妻ニ と2位の 土浦湖北 に加えて選抜大会で21世紀枠の候補に挙がっていた 水戸桜ノ牧 や古豪 取手二 が出場した。しかしそのうち3校が初戦敗退。投打に力不足の感は否めず、コールド負けと他県と勝負にならない試合が多かった。茨城県はここ数年夏の全国大会でも初戦敗退が続いている。公立校4つの出場ということにはその努力も感じられるが、県内1位では見える景色はまだ低い。関東大会で感じた差を夏に向けて追いかけて欲しい。
夏の大会を目前に繰り広げられた春の大会は各校戦力を試しながら進んでいき、課題を持ち帰っていった学校も多いことだろう。夏まではわずかな期間だが、一番伸びる時期。どれだけ成長して出てくるかが楽しみだ。
(文=高校野球情報.com 編集部)
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