南宇和vs宇和島東
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上田晃平投手(南宇和3年)
南宇和の快速右腕、浮上のきっかけをつかむ!
高知県では既に競技が終了し、徳島県では6月4日から7日まで開催される県高等学校体育大会が開催されない愛媛県と香川県の高校野球界において、大型連休後から7月上旬までは夏の県予選に向けて練習試合で得た課題を練習で消化しているサイクルが続く期間である。ただしこの間、全く公式戦がないのか?と言われればそういう訳ではない。各市、各地区高校野球部同志の交流と向上を計るローカル大会が行われるのもこの時期だ。
今回紹介する宇和島地区大会もそのローカル大会の1つである。1988年の第63回センバツでは初出場初優勝、春4回、夏7回甲子園出場の宇和島東、春夏各1回の甲子園出場経験を持つ南宇和をはじめ、宇和島地区の7校が宇和島地区内での覇を競う今大会。そして今回はその代表格である宇和島東と南宇和がいきなり初戦(準決勝)で激突することになった。
そしてこの両校には愛媛県内のみならず、四国内で注目を集める選手が多く名を連ねている。宇和島東にはカットボールの達人・山本喬之(3年)に最速138キロの赤松茂樹(2年)。さらに宇和海中時代から注目を集めていた最速135キロの中川源和も今年進学したことで各学年に好右腕がそろうことに。打者でも強打の1番・遊撃手、三浦眞吾(3年)が注目を集める存在だ。
しかし、このゲームで最も輝いたのは一方の南宇和で10番を背負う右腕・上田晃平(3年)であった。大きなカーブに見るべきものを持つサウスポー宮下昂平(3年)から6回表にマウンドを引き継いだ上田は、6・7回こそリリースポイントの乱れから5四死球の乱調であったが、バックの好守でこれを無失点でしのぐと、終盤2イニングは左打者内角低めへの130キロ台後半を連発。特に8回、この試合では途中出場となった三浦との対決では6球中3球をこの日最速となる139キロを投ずる力投で、9回、1番・松本晃貴(2年)のセンターオーバー2塁打によるチームの逆転サヨナラ勝ちへの道筋を作った。
試合後、大橋智史監督は「いいものは持っているがストライクとボールがはっきりしているし、スピードにこだわらずコースに投げられるようにしてほしい。『宮下がいて自分が仕切っているんだ』という責任感を持って試合を作ってほしい」と大いなる期待を込めて上田への奮起を促したが、それでも昨夏の愛媛県大会で2試合連続完封と彗星のような活躍をした以後、低迷期に入っていた秋と春の彼の状態と比べれば大きな進歩。快速右腕上田の浮上気配は、1980年の第62回夏以来30年ぶりの甲子園を目指す南宇和にとっても、これ以上ないプラス材料であるに違いない。
(文=寺下友徳)
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