天理vs登美ヶ丘
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天理・安田(3回レフトスタンドへ2ラン)
天理が圧勝で、奈良大会を制覇!
3年ぶり22度目の優勝。
天理が17-3で登美ヶ丘を下し、春の頂点にたった。
準決勝の再試合を含めて、3試合で47得点。ここへきての爆発力は驚異的である。中村、安田、内野で形成するクリーアップの破壊力だけでなく、残った走者をきれいに掃除する6番・岩崎、粘り強い打撃でつなぎに徹する、1番・井上、2番・柳本、7番・長谷川。代役で、今大会から急きょ捕手を務める西浦丈の活躍もしぶかった。
しかし、今日に限って言うと、単なる打撃の破壊力だけで取った17得点と決めつけるのは早計である。したたかな得点能力の高さに目をそむけると、天理というチームを見誤ることになる。
とにかく、次の塁を陥れる走塁がしたたかなのだ。主将の安田は言う。
「森川先生が復帰されて、走塁面のことをよく言われてきました。今までは、『打てばいいやろ』と思っていたところがありました。そこが変わったと思います」。
ダブルスチールあり、守備がもたつく間の積極果敢な走塁あり。数字だけの部分ではないところに、今日の天理の強さはあった。
その最たる場面が7回である。途中出場の坂倉が右中間を破る三塁打の場面である。打球を放った時点から、坂倉は三塁を狙っていたが、何よりも、際立ったのはその後だ。 登美ヶ丘 の守備陣が中継に入りながら、走者の確認を怠り、油断していると。坂倉はスキを見逃さず、本塁を陥れたのである。
これは90回大会の2回戦、 常葉菊川VS福知山成美 戦でもみられたプレーで、当時は、 常葉菊川 のしたたかさと 福知山成美 の声の連携ミスが大きく取りざたされたものだった。
このプレーをどう評価するかは人ぞれぞれだ。今日の試合でいえば、坂倉の好走塁なのか、 登美ヶ丘 が緩慢プレーなのか。
登美ヶ丘 のことしのチームスタイルは大胆に打つチームだ。ち密に守るというよりも、むしろ、果敢に攻めていく。細かいことは気にしないといったくらいだ。カバーリング、全力疾走にこだわりがなく、とにかく、気分良く戦っていく。そうした戦いで、右腕でNO1評価と言われた桑原のいる 王寺工 、好守に力強さの戻った 高田商 を粉砕してきたのだ。
良いとも、悪いとも言えない。いや、ここまでは勝って来たのだから悪くはなかったのだろう。自分の5メートルしかカバーリングに行かない捕手も、遊撃ライナーで走塁をやめてしまう4番打者も、それがこのチームのスタイルで、持ち味だったのである。
今日の試合に限って言えば、そのスタイルを天理がただ上回っただけだ。
20安打17得点は見事というしかない。
「3月23日に、復帰させてもらった時、走塁ができていないという印象でした。そこだけに力を入れてきたわけではないんだけど、少しずつ、やろうとしていることを選手が理解してきて、形にはなってきたかなと思う。(今大会は)去年を見ていないので、私自身、ほとんど手探りでした。打順を変えたり、投手をやりくりしたり、コンバートをしたり…そういう意味では、いろんなことを試せた春季大会だったと思う」。
森川監督は、今大会をそう総括した。そのうえで、「まだまだ新チームのような状態から、少し力がついてきたところ」と、チーム力向上に抜かりはなかった。
昨秋は打つだけだったチームが得点力をあげて、つかんだ3年ぶりの県大会制覇。一つの結果を残せたという自信と、さらなる進歩のために、天理はまた一歩階段を上ったような気がした。
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