大垣日大(岐阜2位)vs東邦(愛知1位)
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大垣日大・葛西
名将・阪口慶三監督(大垣日大)、古巣・東邦と初対戦!
「むちゃくちゃ燃えました!甲子園以上に気合入ったね!」
と、大垣日大・阪口慶三監督が興奮冷めやらぬ様子で話せば、 東邦 ・森田泰弘監督も
「選手たちには言わなかったけれど、すごく楽しみだったんです。(大垣日大との対戦が決まって)ワクワクしながら過ごしてきました」と胸の内を明かした。
38年間率いた 東邦 を勇退し、2005年から大垣日大の監督に就任した阪口監督にとって、この日が古巣との初対戦。練習試合も含めて過去一度も無かった前任校との一戦を前に、阪口監督のボルテージも最高潮に達していた。「抽選会の直後から、『(東邦に)負けてはイカン!』と大声で選手に言ってきました」と、気合十分で球場に乗り込んだ。
一方の 東邦 ・森田監督は、自身も阪口監督の「教え子」であり、1984年からは東邦のコーチとして阪口監督の「片腕」を約20年間担ってきた。「予想したこともなかった」という「師弟対決」が実現したのだ。
試合は大垣日大・葛西侑也、 東邦 ・芳賀洋亮の両エースが丁寧なピッチングを見せ、序盤は互いに無得点。
4回表に大垣日大が高田直宏の左翼タイムリーヒットで先制点を挙げるが、7回裏に 東邦 の4番・都築弘晃に左翼席同点ホームランが飛び出し、拮抗した展開に。
だが直後の8回表、代わったばかりの 東邦 左腕投手・上村勇太を大垣日大が攻め立てる。四球で出塁した2走者を4番・高田が左翼タイムリー二塁打で返して、2点を勝ち越す。これが決勝点となった。引き締まった好ゲームの軍配は阪口監督に上がった。
大垣日大の葛西は、「あれだけ低目に球を集めて、両サイドを突かれては…」と敵将の森田監督も脱帽の投球で、9イニングスを6被安打1失点に抑えての完投勝利。終始腕が振れて、左打者の外角へのボールが走っていた。阪口監督も「投球に幅が出てきた。センバツ甲子園ではストライクがとれなかったカーブで、カウントがとれるようになった」と成長を認めた。
「好投手相手にどこまで通用するか」というテーマで試合に臨んだ 東邦 打線は、結果的に葛西に抑えられたものの、夏に向けていい経験になったようだ。
試合を振り返って、阪口監督は「緊張感のあるいい試合だった。『魂同士の戦い』だった。 東邦 の選手にもいい魂がありましたよ」と両チームの選手を称えた。
試合後、スタンドの観客席で第2試合を観戦していた阪口監督のもとを、森田監督が訪ねて握手を交わした。
「師弟対決」を終えた両名将の清々しい様子が印象的だった。
(文=尾関雄一朗)
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