県立岐阜商業(岐阜1位)vsいなべ総合学園(三重2位)
9回逆転サヨナラ満塁ホームランを放つ 酒井田照人01(6番ショート)
県立岐阜商業、9回起死回生の逆転サヨナラ満塁弾!
2時間半を超える長いゲームとなった第1試合。9回裏、最後の最後に信じられない幕切れが待っていた。
4点を追っていた立岐阜商業。1点を返したものの、2死。ここから繋いで満塁の場面を作った。打席は6番の酒井田照人(2年)。「先輩達が繋いでくれたので、何とか自分も後ろに繋ぎたいと思った」と話した2年生は、初球の真っすぐを思い切って振り抜いた。打球は低い弾道ながらレフトへ一直線。スタンドインを悟った1塁側のベンチからはナインが駆け出してきた。
「正直言って手ごたえはあまりなかった」という苦笑いする酒井田だけが、やや遅れ気味に本塁打に気がついた。そしてダイヤモンドを一周してナインにもみくちゃにされた。
「一発でればサヨナラ」野球ファンなら誰もがそう思う形ではあるが、まさか本当にそうなろうとは・・・
最後に勝利を手にした県立岐阜商業だが、試合の内容としては最悪だった。先発の松田侑樹(3年)が初回に4失点。
5回途中からマウンドに上がった左腕の櫻田陽介(3年)も流れを止められない。ダブルエースとともに精彩を欠いたのはマスクを被る主将の井貝星良(3年)。中盤にはパスボールも犯し、「反省させるため」(藤田明宏監督)というサード回らされた。
8回の3失点で8点差となりコールド負けの危機。ここからの逆転は見事だったが、授業日で球場に来られない多くの部員のことを考えるとこの試合内容には藤田監督も複雑な心境だっただろう。それでも、「準決勝は土曜日なので、全員来られる」と指揮官は勝ったことには安堵の表情を浮かべた。
昨夏は甲子園ベスト4まで上りつめた旧チームの合言葉は『絆』。井貝主将は「今年のチームの絆は深い。メンバー外のサポートの選手がよく支えてくれている」と話す。今年の合言葉は『超覇』。先日最後の試合を行ったというサポートメンバー達が考えてくれたそうだ。
2年連続の甲子園へは、選抜ベスト4の大垣日大が立ちふさがる。春の県大会では破ったものの、強いことは実感している井貝主将。「まずはこの東海大会でも大垣日大を破って弾みをつけたい」と力強く話した。
【いなべ総合】
「突然(エースの)近藤が崩れた。何で何だろうか」と尾崎英也監督は首をひねった。
7回まで2点を失っていたものの、エース・近藤佳史(3年)は一つも四球を与えていなかった。それがコールド寸前の8回、先頭打者にヒットを浴びると、突然コントロールが思う所にいかなくなった。続く打者にストレートの四球。これが悪夢の始まりにもなった。
「コールドは意識にありませんでした。疲れ?少しあったのかもしれません」と肩を落としたエース。この日の気温は30度を超え、今年初めての真夏日を記録。グランドは夏を思わせるような暑さだった。
2番手で登板した岡部直人(2年)もライトでスタメン出場。突然の気温上昇が知らず知らずのうちに体力を奪っていたのかもしれない。
(文=松倉雄太)
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