天理vs智弁学園
2再試合は天理がコールド勝ち
天理― 智弁学園 による、再試合となったこの試合は、予想に反して、天理の圧勝で幕を閉じた。
天理は1回表から果敢に攻める。先頭の井上が四球で出塁、野選のあと、3番・中村が併殺崩れになると、4番・安田の犠牲フライで1点を先制、内野・岩崎に連続タイムリーが出て3点を先取した。
その裏、 智弁学園 が四球から好機をつかみながらも無得点で終わると、試合は天理のペースに。天理は2回に2点、3、4回に2点ずつ。7回には9点を奪い、試合を決めたのである。
これほどまでの差がつくとは予想もしなかった。
ただ、この試合のモチベーションのやり場が難しかったのも、また事実である。甲子園につながらない大会という中、二日前に接戦を演じたばかりで、気持ちを整理するのが難しかったのはいたしかたない。両者の初回の先頭打者がともに、ストレートの四球で歩いているところを見ても、特に投手にとっては気持ちの整理が難しい試合だったとは思う。
その中で、1回の攻撃が両者を分けた。天理がモノにし、 智弁 が生かせなかった。差はそこにあった。
天理はこの試合、1番打者に前の試合では9番を打っていた井上を1番に上げるなど、打順の組み替えを成功させている。1番に井上、2番に井上と似たタイプの柳本、固定のクリ―ンアップは中村、安田、内野で。6番に、前試合で一時は逆転満塁弾となる本塁打を放った岩崎を置いた。森川監督は「僕自身がやってみたかった打順」といい、組み替えについてこう話している。
「僕が監督に復帰してから、内野と中村を内野手にしたことで、外野に二つのポジションが空いた。そこで、今は長谷川や井上、柳本がチャンスをつかんでいる。井上がいい働きをしているんで、1番で試してみた。この打順で決まりというわけではないけど、井上はしぶとく打ってくれるんで、相手にとっても嫌な一番になっているかな」。
その井上は初回の先頭で出塁のあと、柳本の犠打で野選を誘ったのだが、これは智弁の守備のミスというより、井上が足で稼いだといっていい。4打数2安打2打点で3度ホームを駆け抜けた。起用は成功だった。天理打線は豪快に打つ選手が多いだけに、彼のような足もあり、粘り強いバッターは、新たな選択肢として、チームにリズムを呼びこむことになりそうである。
かくして、天理打線は爆発し、 智弁学園 を粉砕したわけだが、この日の結果だけが両チームの差を表すものではない。森川監督は「夏だったらいいんだけどね、そんな甘くない、夏は」と気を引き締めたが、これは謙遜ではないだろう。前の試合は13-13の引き分け。9回に意地で追いついた 智弁学園 の粘り強さを肌で感じたのは、何よりも天理自身であるのだ。
この戦いを境にして、両者がどう成長して行くのだろうか。
果たして、夏の再戦はあるか。
「2強」のこれからが非常に興味深い。
(文=氏原英明)
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天理 | 3 | 1 | 2 | 2 | 0 | 9 | 17 | |||||||||
智弁学園 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
天理:西浦健、澤井―西浦丈 智弁学園:山崎、西辻、吉田、谷―稲垣
本塁打=安田(天)三塁打=内野、西浦健(天)
二塁打=柳本、長谷川(天)稲垣(智)