試合レポート

習志野(千葉1位)vs桐生第一(群馬2位)

2010.05.15

2010年05月16日　ひたちなか市民球場

習志野(千葉1位)vs桐生第一(群馬2位)

2010年春の大会　第62回春季関東地区高校野球大会　2回戦

泉澤投手(習志野)

相手ミスに乗じて習志野がコールドで圧勝

　嫌な流れを止める一撃だった。
初回、習志野は２番の中村がセンター前安打で出塁しながらもけん制死。
２死無走者となり、スタンドからため息があがる。
だが、直後の２球目。
福田は甘く入ったチェンジアップをとらえる。
打球は両翼１００メートルと広いひたちなか市民球場のレフトスタンドに飛び込む先制の本塁打になった。
「なんでけん制で刺されちゃうの？　というあとだったので、雰囲気を盛り返すのにいいホームランでしたね」。（小林監督）

　４回に１点を追加したあとの６、７回はバント攻め。
６回、グランド整備直後の１球を１番の本山がセーフティーバントして成功すると、２番の中村の送りバントがサードのエラーを誘って一、二塁。さらに福田の送りバントも内野安打となって無死満塁となった。
ここで山下がライト前へ適時打を放つと、早野、宮内は連続犠飛で３得点。
さらに７回にも無死から死球の後、１番の本山の送りバントが捕手のエラーを誘い、中村の投手前バントも内野安打で再び無死満塁。福田の２点二塁打のあと、山下、早野がまたも連続犠飛で４点を奪って勝負を決めた。

「２番の子（中村）は小さくて大丈夫なのかな？　という子ですけど、よくつないでくれました。足は速くないんですけど、一生懸命走っていたので相手が焦ったのかなと思います。ああいうミスが桐生第一さんなので、あそこをものにできたのが大きかった。その差だけです」。
小林監督は謙遜するが、走者三塁で確実に犠飛を打てる習志野打線。長らく野球を見ているが、１試合５犠飛は記憶にない。プロ野球の年間犠飛が１位の選手でも10程度だから、驚くべき数字だ。それだけ、習志野の選手が打席内でやるべきことがわかり、打つべき球がわかっていることの証明だといえる。

　桐生第一は不安の残る泉沢の立ち上がりをとらえられなかったのがすべて。
先頭の御供はカウント０－３までいきながらレフトフライ。２番・山田亮はストレートの四球を選んだものの、黒川が送りバントを失敗。続く４番・ルシアノはライト前へ詰まりながら安打を放ったが、一塁走者の山田亮は二塁止まりと消極的な走塁。中山はショートゴロを打たされ無得点に終わった。
「先頭バッターに３ボールになったときにはフォアボールだと思いました。あそこでフォアボールにならなかったこと、あれがすべて。フォアボールなら逆の展開もありえました」。（小林監督）
その泉沢は打線の援護に応えるように、尻上がりの好投。
最速１３５キロながら、カーブ、スライダーとのコンビネーションで打たせて取り、７回を３安打完封。「ブルペンではストライクの確率が２割でどうなるかと思った」（小林監督）というのが信じられないほどの堂々たる投球だった。

(文＝田尻賢誉)
(写真＝宮坂由香)

[:addclips]