土浦湖北(茨城2位)vs花咲徳栄(埼玉1位)
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金子(土浦湖北)
土浦湖北が3回犠飛で挙げた1点を金子の好投で死守
早いテンポの試合は1時間38分で終わった。両チームともに5安打しか放つことが出来なかったので、貧打戦という声もあるかもしれないが、ここは両投手がよく投げた好投手戦だったといっていいだろう。
両チームを通じて唯一の得点は3回に土浦湖北が挙げた。
この回、1死から九番上野が四球で出ると、松尾が一塁手強襲の安打で続く。さらに、影山の当たりは併殺を焦った 花咲徳栄 内野が珍しく乱れて落球し満塁となった。ここで、三番野坂が右犠飛を放って三塁走者を返した。結局この1点のみということになったのだが、この時点ではまさかそんな展開になるという感じでもなかった。
ただ、 花咲徳栄 の松本、土浦湖北の金子の両右腕投手がそれぞれ持ち味を出して好投していた。松本は、投げ下ろす時に腕を伸ばして、角度を意識したような投げ方で、多少強引な感じがしないでもないが、球はいい感じで捕手のミットを叩いていた。金子はスリークォーター気味だが、地肩も強そうで馬力で投げて来るという印象だった。
スピードそのものは、132~3km/hなので速さで圧倒するというタイプではないものの、気持ちでも思い切りのよさでも負けてはいなかった。ある程度、芯で捉えられていたかなという印象もあったのだが、それでも野手の正面へ行くことが多かったのは、それだけコースがよかったということもいえるのではないだろうか。
実は、4年前にも土浦湖北は金子投手(現大正大4年)で関東大会に駒を進めているが、今回はその弟がチームを引っ張り、春の関東大会初勝利となったのだ。
途中、県1位の 下妻二 が 日大鶴ケ丘 に敗退したという報が入り、開催県の茨城勢は既に3校が姿を消したことになってしまい土浦湖北が何とか、地元としての面目を保ったという形になった。小川幸男監督も、地元代表校として県勢全滅を逃れたことにも安堵していた。そして、「ウチのような環境のところはどうしても守り主体のチーム作りとなってしまいますが、まさか、1―0とは思いませんでした。私としては、こういうスコアでの勝ち方は嬉しいものですよ。こっちは、あまり点が入らない展開になることは予測できました」。ただ、7回には1死一塁で一番松尾が右翼フェンスを直撃する一打を放ちながら、先の走者の判断ミスがあり三塁で刺されてしまうという拙い走塁などもあった。
それらの課題を含めて、夏を見据えた戦いとしては、海沿いで風も強く、球場全体もファールグラウンドも広いのが特徴となっている、ひたちなか市民球場という場所で試合をして勝てたことも大きかったという。
また、 花咲徳栄 としては、この試合は落としたものの、五明、橋本に次ぐ投手として松本が十分に投げられるということがわかったのは大きかったのではないだろうか。この日は、打線が土浦湖北の金子投手の術中にはまったところもあったが、やはりチーム力は十分に高いということは確かである。
(文=手束仁 )
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