試合レポート

天理vs智弁学園

2010.05.14

2010年05月15日 郡山市営球場

天理vs智弁学園

2010年春の大会 奈良県春季大会 準決勝

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2強の激闘は引き分け再試合

 春季大会で、これほどまでに興奮する試合は、なかなかお目にかかれない。

 

 天理がエースの沼田を温存、正捕手の亀澤を故障で欠いていたとはいえ、天理智弁学園 の2強の両校が見せたプライドをぶつかり合わせての乱打戦は魅せるものがあった。

  

 1回裏、 智弁学園 は4番・大西の適時二塁打など、打者一巡の猛攻で4点を先制。しかし、天理も応戦。伊達の三塁強襲ヒット、9番・井上の適時打なので、同点に追いついた。
 2回裏、 智弁学園 は3番・岩本、4番・大西、5番・中道のクリーアップの3連打で2点。天理は先発の岡田から受け継いでいた澤井を金田へとスイッチするが、6番・稲垣は四球、7番・徳田が適時三塁打を放ちさらに2点。天理はさらに西浦健にスイッチするも、8番・住谷が中前安打を放ち、計5点を奪った。

 

 ところが、それでも天理はあきらめずに反撃。3回表、5番・内野、6番・長谷川、7番・伊達の3連打で1点を返すと、一死後、9番・井上、1番・岩崎に連続適時打が出て、計4得点。その差を1点差とした。

 

 試合がどちらに転ぶか分からない、まさにノーガードの打ち合いだった。4回裏に、 智弁学園天理の失策に乗じて1点を加えた後はこう着状態に陥ったが、9回にドラマが待っていた。

 

 9回表、天理は先頭の4番・安田が出塁、三振と四死球を交互に挟んで二死満塁とする。9番・井上が二塁強襲安打を放ち1点差とすると、1番・岩崎が右翼スタンドへ飛び込む満塁弾。右手を高々と上げた岩崎の姿には震えあがったものだった。

 

 しかし、試合はこれでは終わらない。
 その裏、 智弁学園 は2つの安打で2死・1、3塁し、3番・岩本。1-2から真ん中に来た西浦健のストレートを一閃。左翼スタンドにぶち込んだ。起死回生の3点本塁打。試合は振り出しに戻った。天理・岩崎が打った時と同じように、岩本の打球がスタンドに飛び込んだ時には、鳥肌が立った。

 

 試合があまりに白熱すると、野球ファンはいつまでもこの試合を見ていたいと思うそうだ。この試合は、試合時間が長く、どれだけのファンがそう思ってくれたかは分からないが、2強のプライドがぶつかり合い、観る者を魅了させた。

 

 試合は、その後に登板した 智弁学園 ・吉田と谷、天理・西口が好投を見せ、無得点で延長15回を終了。白熱の決着を野球の神様はつけたがらなかったのだと、私はみている。

 

 試合後、小坂監督は「勝ち試合でした。7回裏の無死1,2塁の好機でバントを決めれなかったのが響いた。9回にホームランを打った岩本は、そのバントを失敗していたし、意地が出たんやと思う。今年のチームはそういうのが出てくるようなチームになってきた」と語り、一方、天理・森川監督は「勝敗よりも、今日は10得点を目標にしていた。だから、序盤に点を取られても、そんなに落ち込んではいなかった。取ろうという目標があったから。ただ、選手たちはこれじゃアカンというのは分かったでしょう。いい経験はできたと思う」と口にした。

 

 両者の課題が投手陣にあるのは周知の事実だが、これだけの熱戦を見せた両校のチーム力はやはり「2強」と呼ぶにふさわしい。

 
 

(文=氏原英明

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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