試合レポート

東海大甲府(山梨2位)vs取手二(茨城4位)

2010.05.14

2010年05月15日 水戸市民球場 

東海大甲府(山梨2位)vs取手二(茨城4位)

2010年春の大会 第62回春季関東地区高校野球大会 1回戦

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保坂(東海大甲府)

取手二、復活の期待を背負った戦いだったが力の差を痛感

 取手二が久しぶりに関東大会に進出して、あの26年前の栄光を思い出した人も少なくなかったであろう。はからずも、今回の関東大会進出を機に、ユニホームも当時のスカイブルーのものに戻した。胸に漢字で「取手二高」のゴシック体文字も変わっていない。そのユニホームを待っていたファンも多いのだ。

 そんな地域やOBの期待をひしひしと感じているという取手二の関口秀文監督。自身は 竜ケ崎一 の出身だが、茨城県勢として初の全国制覇を果たした取手二の歴史は選手たちにもことあるごとに伝えているという。そんな歴史と伝統と、期待を背負った茨城県4位で登場の取手二の戦いだったが、甲子園の常連といってもいい 東海大甲府 との力の差は否めなかった。
「こういう舞台で四球とエラーがこれだけ出てはいけません。相手の力が上だということはわかっていたのですが、初回の2ランで出鼻をくじかれました。私にとっても、選手たちにとってもいい経験になりましたから、夏へつなげたいと思っています」と、大敗を受け入れながら、次を見据えていた。

 2死から鈴木優が安打で出ると、四番高橋周の2ランで先制した 東海大甲府 は、3回にも二つの四球で走者をためると、六番大木の安打で返す。さらに、5回も2死走者なしから死四球に盗塁と大木のタイムリーに失策もあって3点。試合は完全に 東海大甲府 が主導権を握る形となった。

 6回は、何とか 東海大甲府 の左打線をかわしたいと送り出された左腕の澤田だったが、やはり1年生には負担だった。失策もあって、打者6人に対して1死も取れないまま4点を失いコールドゲームが成立してしまった。

 東海大甲府 の保坂投手は162㎝と小柄だが、自分のリズムで小気味よくいいテンポで投げ込んできており、安打は許すものの、危なげを感じさせない魅力があった。主将も務めており、気持ちも強くしっかりとしている選手ということであろう。

 取手二としては、4回三番中山の二塁打が出るなどして、無死一二塁という好機を得たものの併殺で潰した免機が痛かった。県大会から打って取っていくというスタイルを貫いてきただけに、ここで一気に崩したかったというのが本音だったであろうが、ここからの巧さが保坂投手の真骨頂でもあったのだ。

 

(文・写真=手束仁

4番・高橋が効果的な一発。東海大甲府が取手二をコールドで下す

「開幕試合の緊張感の中で、あの一発が大きかった」
 東海大甲府・村中監督が手放しで褒めた貴重な本塁打を放ったのは4番・高橋。
 1年春からベンチ入りし、夏から4番を任されているスラッガーは、2年生ながらこれが早くも高校通算27本目のアーチ。
「関東大会まで来たので思い切りいこうと思いました。来た球に反応した」(高橋)というひと振りは、ベンチのムードを変えるのに十分な当たり。まだまだ粗さもあり、全力疾走の意識に欠けるが、打席での雰囲気やスイングは別格。間違いなく来年のドラフト候補だ。

 東海大甲府はその後、四死球や相手の失策にも助けられて着実に加点する。
 そして、5回終了後。グランド整備中に村中監督は手綱を締めた。
「気を抜くな。ここからが勝負だぞ」
 コールド勝ちが見えた展開で、あえてこう言ったのには訳がある。
 山梨県大会決勝で 日川 相手に3回に5点を先制。5回表を終了して6対1とリードしながら、延長11回の末にサヨナラ負けをしていたからだ。「もう勝てる。楽勝だ」。そんな気の緩みが原因だった。

 その言葉が利いたのか、東海大甲府打線は6回裏に高橋、梶山の連続適時二塁打で3点を加えると、最後は橋本のセンター前安打で10点目。7回を待たずして早々とコールド勝ちを決めた。
「決勝の反省を生かしてくれましたね。あのときもああ言えばよかった(笑)」(村中監督)

 東海大甲府は162センチ、64キロの小さなエース・保坂がキャプテンを務める。これについて村中監督は「チーム内でも芯がしっかりしているし、根性も度胸もある。大きいヤツには負けたくないという気持ちがあるんでしょう」と気持ちの強さを強調した。
 その言葉通り、保坂は6回で6安打を許しながらもピンチに動じない投球。6回無死一、二塁のピンチも落ち着いて併殺で切り抜けた。

 オールドファン待望の取手二だったが、全力疾走の姿勢がなく、守備でも雑なプレーが目立った。3回2死一、二塁では二遊間寄りのゴロでセカンドの和田がダイビング。ここまではよかったが、捕球に行かず、グラブに当てて二塁ベースカバーのショートへ渡そうとするプレーを試みた。それしか間に合わないタイミングとはいえ、打球を止めさえすれば、まだ2死満塁。余計な失点につながった。1点を争う終盤なら別だが、イニング、点差を考えてあのプレーを選択する必要があったのか。状況を考えたプレーをしてほしかった。

(文=田尻 賢誉


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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