高知商業vs須崎
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岡本健斗投手(高知商業)
スタンドとテンポが生んだ、白熱の好ゲーム
高知市の中心街に隣接した高知市営球場から南へ一山超えたところにある高知県春野総合運動公園。
陸上競技場、ソフトボール場、体育館、サッカー場、相撲場など高知県スポーツの殿堂とも言えるこの区域の一角にある高知県営春野球場は自分たちの競技を終え、野球部の応援に駆けつけた学生たちが数多く詰め掛けていた。
さながら「学校対抗戦」の様相を呈していたスタンド。
その熱気に煽られるように、両校の先発投手はそれぞれの持ち味を活かしたテンポよい投球でさらにゲームをヒートアップさせた。
高知商業の岡本健斗(3年)が最速133キロの手元で伸びる直球を主体に強気の投球を組み立てれば、 須崎 の石田純也はサイドスローからコーナーに四隅に散らす頭脳的なピッチングで連打を許さない粘りを披露。これにバックも再三の美技で応えるなど、ゲームの緊迫感は夏のそれに匹敵する内容であった。
最終的には8回表、石田のバント処理ミスを突いて3点を一挙奪った高知商業が名門の貫禄を示す形にはなったが、勝敗への訴求が希薄になりがちな今大会で好勝負を貫いた 須崎 の健闘も賞賛に値するもの。
試合後、高知商業・正木陽監督が選手たちを集めた前で「こういう試合をやって勝ってくれ」と述べた夏への教示は、最終決着の場に限りなく近いこの日の疑似体験を経て、彼らの心の中に素直に染み渡っていったに違いない。
(文=寺下 友徳)
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