高知vs寒川
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優勝旗を受けとる高知・竹村仁志主将
高知は3年ぶり9回目の春季四国地区高等学校野球大会優勝
どの地区でもそうであろうが春の地区大会における采配は非常に難しい。公式戦の緊張感は練習試合を何度こなしても味わえるものではないため、勝利を優先させつつ夏の県大会へ向けて、新たな選手やレギュラー選手の通常とは異なるポジションや打順での起用することもベンチの重要な仕事の1つだ。ましてや今回の高知と 寒川 のように決勝戦の勝敗にかかわらず夏の県大会第1シードが決定的である場合はなおさらである。
さてこの決勝戦、 寒川 の先発は「ウチが甲子園にいくためのキーマン」と宮武学監督が指名した3年生右腕の原田知哉。昨年11月に右ひじ4箇所を手術して以来初となる公式戦登板でどのような内容が残せるかが注目された。
結果から言えば原田は5回3分の1で82球を投げ5失点(自責点4)。1回表に自らのけん制悪送球から先制点を与え、6回表の先頭打者、高知で最も警戒すべき3番・亀井雅人(2年)に長打を浴びたミスは反省材料だが、
「この春までの悔しさをぶつける気持ちで投げた」フォークを要所で交え、穴のない高知打線を4安打に抑えた気迫の投球は合格点を与えられるものだった。
また、打線も谷川匠(3年)、筒井太智(3年)から合計9安打。これには「振ることによって次にボールを見切れるレベルに達する」ことを厳しく選手たちに要求していた宮武監督も「県大会に比べて天と地の差」と満足気な表情を浮かべていた。
もちろん3年ぶり9度目の優勝を果たした高知も今大会で多くの収穫を得た。公式戦初捕手にもかかわらず3試合通じて卓越したリードと11打数7安打の打撃が光った松窪海斗(2年)の台頭を筆頭に、センバツ後にレフトとライトの位置を入れ替えた池知佑也(3年)と山崎隼司(2年)の外野布陣変更も機能。さらに右腕谷川、左腕筒井も2人そろって無難な投球を見せ、センバツ後の練習試合では不調をかこっていた亀井も12打数9安打と復調の兆しを示したことで、島田監督が甲子園で勝つためのポイントとして掲げた「戦力を厚くすることによるディフェンス面の強化と、エース級に対するスイング対応」にもある程度のメドがついたと言えよう。
かくして出場8校が大型連休の3日間でそれぞれの成果と課題を得て高知県を後にした春季四国大会。彼らが地元に帰って今度は甲子園という大舞台を目指す県大会までにどんな成長を見せてくれるかを楽しみに待ちたい。
(文=寺下 友徳)
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