試合レポート

浦和学院vs坂戸西

2010.05.02

2010年05月03日 大宮公園球場

浦和学院vs坂戸西

2010年春季埼玉県大会 準決勝

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エース・阿部(浦和学院)

延長13回坂戸西、浦和学院追いつめるもあと一歩

 昨年の秋季大会と同じ顔合わせとなった埼玉県準決勝。その試合に1―3で敗れて以来、「どうしたら浦和学院 に勝てるのか」ということのみに絞って冬の練習を凌いできたという 坂戸西
そしてこの試合、延長に入って一時はリードしながらも13回、サヨナラ負けしてしまった。
それでも、野中祐之監督は、「確実に差は縮まったという実感はありますよ。負けて悔しいという残念な思いはもちろんありますけれども、最終的には夏の大会で浦和学院を倒したいということを思って戦っていく場合、まだ足らない何かがあるということがわかっただけでもこれでよかったかなと、そういう気持ちもあります」と、とにかく“打倒浦学”への執念を漲らせていた。
そして、「ここまで差を詰められたということは、やってきたことは間違いではないと、そういう気持ちにはなれると思います」と、あと一つの壁を破る思いを熱く語ってくれた。

 先制したのは浦和学院で3回、1死後星、濱田と一二番が連打して、2死二三塁となった後、四番原が左越二塁打して2点が入った。

坂戸西 の好左腕長島としては、やや勝負を急いだかなという感じだった。とはいえ、ここは打った原が立派。さすがに、浦学の四番といっていいだろう。それでも、長島投手はその後を踏ん張った。5回には無死三塁のピンチも迎えるが、ここもスクイズを外して逃れた。

 そして6回の 坂戸西 は、先頭の九番先川原が右前打で出ると、動揺したのか浦和学院先発の南投手はストレートの四球。すると、ここで森士監督は迷うことなく安定感は南より上というエースナンバーの阿部を投入。ところが、 坂戸西 も2死を取られたものの二三塁から黒澤俊が中前へ2点同点タイムリーを放った。こちらも四番の意地を示した。

 以降は阿部投手と長島投手の投げ合いとなり、同点のまま進んだ8回、浦和学院は1死三塁で五番久保が右越三塁打してついに突き放した。大きな8回裏の1点だけに、このまま浦和学院が逃げ切るのかと思われたが、 坂戸西 も執念を見せる。9回1死後五番島崎が中前打するとバントで二進。ここで、七番長島が中前へはじき返して土壇場で同点とした。その裏、無死で安打されるもののその後をしっかりと押さえて延長戦に突入した。

 そうして迎えた12回、 坂戸西 は1死後一番黒澤智が左中間二塁打すると、続く斉田も右前打して一三塁。ここであろうことか阿部投手に暴投が出て、三塁走者が生還して 坂戸西 がこの試合初めてリードを奪った。しかし、浦和学院もしぶとい。その裏無死の安打を併殺で潰した2死から原が中前打して出ると、すかさず二塁盗塁。久保の当たりが失策を誘って再び同点。

 さらに延長が続いて13回、浦和学院は振り逃げと四球で一二塁とし、バントで進めた後九番小林が左前打してサヨナラとなった。さすがに最後の最後で勝負強い浦和学院というところを見せつけた。
「先制しておきながら、自作自演で好試合にしてしまったんですからね」と森監督は苦笑した。
それでも、昨春は優勝をしている関東大会への出場には、「とにかく全員で優勝旗を返しにいこうとは言っていましたから、それが出来たのはよかったです」と安堵していた。
そして、最後まで食い下がった 坂戸西 に関しては、「長島君は球種がそれほどあるわけではないのですが、コントロールがいいのととくにスライダーがよかったですね。それに、シュート気味の外の球も打ちきれませんでした。左腕の手の出所が見づらく、打ちにくい、いい投手だと思います」と、百戦錬磨の監督も相手を称えていた。

 

(文=手束仁)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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