高知vs野村
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松窪海斗(高知)
正捕手探しに悩む高知に救世主現わる
春季四国大会の1週間前、 高知 は自校グラウンドで 鳴門 、 尽誠学園 との変則ダブルでの練習試合に臨んでいた。その第1試合となる 鳴門 との練習試合でキャッチャーボックスに座っていたのはこれまでの公式戦で全く出場したことがない2年生キャッチャー松窪海斗。キャッチング面では明らかに野手的な捕球がうかがえたものの、ボール回しの場面で見せる強肩ぶりや投手心理を読んだ強気なリードは、第3試合の 尽誠学園 戦に登場したセンバツでの正捕手、山崎智也(3年)に勝るとも劣らないものであった。
そして練習試合後に「四国大会では彼を試そうかと思っている」と島田達二監督も起用を示唆したとおり、彼は今大会で晴れて背番号12を付けメンバー入り。1回戦の 丸亀 戦に続き「7番・捕手」で先発したこの試合でも「小中学校で少しやったことはあるが、センバツ後に投手から捕手転向を言われたときにはびっくりした」ことを全く感じさせない冷静なリードを披露する。
センバツ1回戦 神港学園 戦以来の公式戦登板となった左腕・筒井太智(3年)には、公式戦初バッテリーを組んだとは思えない「左打者の低めを意識した」配球で野村自慢の3年生左打者トリオ、1番・中越広基、3番・岡田穣二、5番・市川恵洋を無安打に封じれば、バッティングでも3打数2安打1打点をマークした前日に続いての5打数3安打1打点でチームの8回コールド勝ちに大きく貢献したのであった。
前日延長14回を戦った 野村 が事前に「市川以外のピッチャーを作ってゲームを作る」(長龍剛監督)テーマを持って臨んでいたことは差し引いて考えなくてはいけないとはいえ、昨年12月の突然となる正捕手の退部後、レギュラー捕手作りに四苦八苦していたチームにとって、松窪の飛躍は正に「救世主登場」と言えるもの。それはすなわち今年は「全国で勝つこと」を本格的に意識して取り組んでいる島田監督にとっても1つのピースが埋まったことを意味している。
(文=寺下 友徳)
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