試合レポート

前橋商vs健大高崎

2010.04.30

2010年05月01日　高崎城南球場

前橋商vs健大高崎

2010年春の大会　県大会　準決勝

健大高崎打線を完封した野口（前橋商）

前橋商、投打に高い完成度示す快勝

　関東でも屈指の好左腕といわれている前橋商の野口を健大高崎がどこまで攻略できるのかが焦点だった。
結果的には、６安打完封で三塁を許したのも一度だけという野口の好投が健大高崎を封じ込めた。昨春のセンバツにも出場しているが、その時からさらに安定感は増しているといっていいであろう。決して体は大きくなく、相手を威圧していくというタイプではないが、とにかく投球術が巧みだ。とくに、２ストライク以降の球の投げ分けが素晴らしい。
それでも、この試合は関東大会進出がかかっていただけに、「勝たなくてはいけない」という気持ちが強くて少し硬かったという。

　０―０で迎えた４回、前橋商は注目の好打者三番後藤が追い込まれながらも左中間を破る二塁打で出塁すると、四番箱田も右前打でつなぎ一三塁。ここで、六番沢浦が右犠飛を放って先制。しかし、健大高崎の北島投手もその後をよく凌いだ。昨秋は準々決勝では、リードしていながら一気に崩れていってしまっただけに、チームとして意識が成長したということはいえるだろう。

　とはいえ健大高崎としては、１点差でついていっている間に何とか追いつきたかったが、それが出来なかった。
６回、７回に無死の走者を出してバントで進めて形は作ったのだが、結局打ち切れなかったのが響いた。
とくに５回に牽制球で走者を刺し、流れを断っていた後のイニングとなった６回は打順も上位で、ここしかないという場面だった。このあたりは、やはり野口投手の投球術の巧さが勝っていたということだろう。

　そして、前橋商は７回、１死後失策の走者を内野ゴロで進めると、九番原田の中前適時打と、一番森澤の中越二塁打で欲しかった追加点を挙げた。こうした試合運びを見ていると、前橋商は投打にチームが高い完成度に達しているような気がする。
それでも、富岡潤一監督は、「つい数日前、新しいマシンが入って、それをみんなよく打つものだから、もっと打てると思っていたんですけれど、やっぱり公式戦だし、そうは上手くいきませんね」と言いながらも、「野口は安心して見ていられます。４季連続で大きな舞台も経験していますからね」と、野口投手に関しては全幅の信頼を置いているようだ。

　今季からユニホームをタテジマスタイルにした健大高崎は、ニューユニホームで４強。関東大会には届かなかったものの、夏は四隅の一角をキープというのは幸先がいいともいえようか。青栁博文監督は関東大会進出を目指していただけに残念そうな表情ではあったが、「ユニホームを変えたのは自分としても10年経ちましたし、甲子園に行くのだったらやはりタテジマかなという気もしたので、思い切って新しいデザインにしました。チームとしては秋から比べると、ひと冬越えて北島が投手として大きく成長して出てきてくれたのが大きいですね。もちろん、まだ課題はありますが、成長度としてはまだまだ期待できると思います」と、手ごたえは感じている様子だった。

(文=手束仁)

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