坂戸西vs秩父農工科学
長島(坂戸西)
坂戸西、投打の歯車がかみ合い会心の勝利
試合時間は1時間半を切るスピーディーなものだった。かといって、お互いが早打ちしていて凡打を繰り返すだけだったのかというとそういう内容でもなかった。もちろん、両投手の制球がよかったということで比較的早いカウントで打っていかざるを得ない状況になっていったということもあったが、お互いリズムがよく見ていても心地よい展開だった。
そして、先制、中押し、ダメ押しという形で得点することが出来た坂戸西にしてみれば、ほぼ理想的な試合だったということが出来るであろう。
野中祐之監督も、「たまにはこういう試合もないといけませんよ。相手もいいチームでしたから、お互いスピーディーな試合が出来たと思います。長島は、ここ何試合か四球を出した記憶がないんですよ。今日は、4点入ったら今田で行くぞということも伝えてありましたので、これも予定通りでした。長島には三振(を獲りにいくこと)は禁止といってあるのですけれどもね」と、会心の勝利にさすがに表情も明るかった。
初回、黒澤智君が中前打するとバントで進め、死球もあって2死一二塁から、五番島崎君が左中間二塁打して2点を先制。5回には、1死後九番先川原君がバント安打で出ると、二塁盗塁後内野ゴロの間に三塁へ進み、齋田君の左前打で帰った。
そして、鮮やかだったのは8回だった。1死一塁で黒澤智君が二塁盗塁後、ラン&ヒットで齋田君が右前打で返し、さらに2死一塁から阿野君が二塁盗塁すると直後、四番の黒澤俊君が返す。この試合で、坂戸西は五度二塁盗塁を試みて四つ成功。そのうち、三つが得点に絡んでいるのだから効率がいい。
盗塁に関しては、野中監督からは、「行けるタイミングがあったら行け」という指示だけが出ており、いずれもノーサインだったという。このあたりも、坂戸西の持ち味といってもいいのではないだろうか。
三振禁止の指令が出ていた長島君は、結果的には8回を投げて9三振。球持ちがよく、左腕からきちっと投げ分けられていた。高めで釣って低めで打ち取っていくという投球スタイルも素晴らしい。9回を任された今田君は右横手投げだが、春先からの練習試合でも好調で安定感が増しているという。坂戸西としては12年ぶりの関東大会進出も夢ではない勢いだ。
結局、秩父農工としては初回に失策で二塁へ進んだものの、以降は二塁にすら届かず完全に長島君と今田君の術中にはまってしまった。それでも、篠原君は力のある球を投げ込んできており、内容は決して悪いものではなかった。
(文=手束 仁)
(写真=高校野球情報.com編集部)
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