菊華vs中部大第一
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渡辺(菊華)
投打に高い素質をもった選手揃う菊華が逃げ切り
春季愛知県大会は24日、県内で8試合が行われ、愛工大名電を1点差で下した愛産大工などが3回戦に駒を進めた。
筆者がこの日足を運んだのは、豊橋駅から路面電車で揺られること20分の豊橋市民球場。
県内で常に言われる「私学4強」(愛工大名電、享栄、中京大中京、東邦)に次ぐ勢力を挙げるなら、確実にこの中に入ってくるだろう高校が豊橋の地で顔を合わせた。
菊華は、2008年秋の県大会でベスト4に入るなど近年躍進中。一方の 中部大第一 も、06年のドラフトで朱大衛が西武に指名されたのをはじめ、力のある選手が多い。
試合は1回表に菊華がいきなり3点を先制する。中越え三塁打で出塁した先頭打者の渡辺を、4番仲辻が右翼二塁打で迎え入れると、続く5番落合が豪快に右越え本塁打。落合の一発は、全身がしなって体中のバネが弾けるような猛烈スイングであった。本塁打を狙っていたか、球種を読んでいたか、ここまで思い切った気持ちの良いスイングは久々に見た。
地元スポーツ紙で中日の元スカウト・法元氏に素質を高く評価された3番藤岡はこの日ヒットこそ無かったが、1番渡辺が3安打の活躍。早いカウントから平然と振っていけて、打球が伸びる。第2打席では、打球が風にも乗ってバックスクリーンへ届いた。
菊華の先発は2年生サウスポーで背番号10の木村。昨夏からベンチ入りしており、期待の高さがうかがわれる。弾けるようなフォームで、深いテークバックからスピーディーに腕を振ってくるので、左打者の外角コースへのボールが「飛ぶ」ように走る。横に曲がるスライダーも駆使し、6回途中降板ながら7奪三振、1失点と好投した。今後も注目していきたい投手だ。
中部大第一 の先発・犬飼は序盤に4失点したがその後持ち直し、試合を作るピッチングを繰り広げた。それに応えるように7回裏には4番穂積に右越え2点本塁打が飛び出す。この穂積、中日・中田亮二を見るような「相撲取り」の体型。パワーは満点で、対戦する投手は怖さを感じるはずだ。
一時は1点差に詰め寄られた菊華だが、9回表に9番吹ヶの犠牲フライで貴重な追加点を挙げ、5-3で勝利を収めた。菊華は先述の打者陣や2年生サウスポー木村のほか、球際に強い二塁手里見など見るべきところも多い。そしてこの日は、スタメン9人のうち、6選手が守備ポジションとは異なる背番号(控えの番号含む)をつけていたのも面白かった。
(文=尾関雄一郎)
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