試合レポート

高田商業vs高田

2010.04.17

2010年04月18日　橿原市民球場

高田商業vs高田

2010年春の大会　奈良県春季大会　1回戦

【高田商業vs高田：試合シーン】

高田のエース・和田への期待。

　高田市に学校のあるチーム同士の対決となった試合は序盤から先に仕掛けた高田商が競り勝った。

試合は１回に２点を先制して、主導権を握った高田商が、一時は同点に追いつかれたものの、突き放して試合をモノにした。高田商の打線は初回から積極的に振り抜いていく、見事な打撃を見せていた。３番・中村、４番・松村、５番・吉川の積極的なバッティングは印象に残ったものだ。

　しかし、だからと言って、高田が一方的にやられていたわけではない。個人的には、高田のエース・和田のピッチングには将来性を感じたものだ。均整の取れた体格から投げおろすストレートには角度があり、スライダーは打者の手元で鋭く変化する。腕の振りを緩ませて投げるカーブは、遊び球としては有効だった。

　では、なぜ、彼が打たれてしまったのか。
取材ノートの配球を見ていると、失点したイニングに限り、ある偏りが生じている。

　１回表の失点の場面、１死・２塁から３番・中村を死球で許した和田は、その後、４番・松村に外目のストレートを痛打された。四球の後、甘くいったところを狙われたのだ。味方が同点に追いついた直後の６回表も同じで、和田は先頭の５番・吉川に外のストレートを狙われ三塁打を許す。続く、吉岡にも外のストレートを狙われ、適時打を浴びた。

　高田商の打線は踏み込んで振り抜いてくる。おそらく、冬場のトレーニングで自信をつかんだのだろう。かなり積極的だったといえる。そうした打線に対し、外中心の配球だと抑えるのはなかなか難しい。事実、失点した以外のイニングではストレートとスライダーを内外に散らし、しっかり抑えている。特にスライダーは打者の手元で鋭く変化し、空振りをとっていた。内へのボールが有効に効き、外が生きていた。

和田が今日の試合で見せた「明と暗」。それを整理することが、彼の今後の課題だろう。
いかに、打者に踏み込ませないピッチングを覚えるか。
それができた時には、他校の脅威となるだろう。天理・智弁学園を抑えても不思議ではない。
それほどの力が、和田にはある。

（文＝氏原英明）

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