試合レポート

帝京(東京)vs神戸国際大附(関西)

2010.03.26

2010年03月26日  阪神甲子園球場

帝京(東京)vs神戸国際大附(関西)

2010年 春の大会 第82回選抜高校野球大会 1回戦

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今大会ベストゲーム!

 長く神戸国際大附を見てきたからだろうか。

 2-3の敗戦にも妙に鳥肌が立ってしまった。

故障から本来の姿から程遠い「エース・4番・主将」岡本健を必死に盛りたてようとするナインたちの懸命さに心が打たれた。そこで見せた野球が、‶個性派集団″と表裏のある言葉で揶揄されチームとは一味もふた味も違うものだったからだ。
「負けたチームがこんなん言うたらアカンのかもしれませんけど、エエ試合ができたいうんすかね。それは実感としてありますねぇ」。
 監督に就任して20年目になる青木尚龍監督は実感を込めて語った。

 試合は1回表、神戸国際大附の二塁手・真野の好プレーにより、試合が大きく傾いた。コントロールが定まらない先発の岡本に対し、帝京は先頭の田口が中前安打で出塁、犠打で二進のあと、四球、ワイルドピッチで、2死・二三塁。5番・岡部の打球は二遊間への痛烈打球。これを真野がダイビングで捕り、帝京がつかみそうになった流れを奪い取ったのだ。

 すると2回裏、神戸国際大附は先頭の篠藤が内野安打で出塁、盗塁のあと、二死から下野が左中間を破る適時二塁打で先制。3回裏にも2番・松村が中まえ安打で出塁、盗塁を決めると、4番・岡本が左翼まえ適時打を放ち、2-0とリードした。

 帝京の先発・伊藤拓郎はそれこそ評判にたがわぬピッチングを見せていたが、神戸国際大附の洗練された守備とまとまり、初回の真野のビッグプレーから序盤をリードして終えたのだ。6回表にも帝京の6番・鈴木昇太がセンターフェンスに直撃しようかというあたりを、中堅守・松村がファインプレー。エース・岡本を盛りたてようとする神戸国際大附・守備陣の心のこもったプレーは続いた。

 しかし、7回表、帝京は猛反撃。1死から四球で出塁、犠打のあと、2番・吉岡は一、二塁間への痛烈なゴロ。これを神戸国際大附・一塁手の石岡がダイビングキャッチで止めるも、内野安打で1、3塁。ここで神戸国際大附ベンチは岡本を諦め、大川にスイッチ。3番・園田が左翼前タイムリーを放ち、1点差とするも、二死満塁の場面で5番・岡部が左翼線に落ちそうになった打球には、左翼へ回った岡本がダイビングキャッチ。帝京打線の振りの鋭さにはレベルの高さを感じたが、寸でのところで引き留めようとする神戸国際大附とのつばぜり合いは、現時点でのベストゲームをイメージさせるものだった。

 8回表、帝京打線に一発。6番・鈴木が振りぬいた打球がバックスクリーン中央へと突き刺さったのだ。エースを欠いたチームに浴びせた一発は、ただの同点ではない痛烈なものだった。神戸国際大附ベンチは大川を変えて大田を投入するも、二四球を与えて、最後はバッテリー間のミスで1点を失った。その間に、右翼手・田中の補殺があるなどの意地も見せたが、ここで力尽きた。

 改めて、この試合はベストゲームだったと思う。
「大会の初戦というのは分かりにくい。特に、ことし初の公式戦ということで不安が大きくありますから」と言ったのは帝京・前田監督だが、帝京のレベルの高い攻撃陣に対し、本調子じゃない岡本を支えながら必死に守った神戸国際大附の守備陣の戦いに感動をせずにはいられなかったのだ。

神戸国際大附は変貌した」と言われるのを、青木監督は好まない。「学校の過去のイメージから見る人が勝手にウチをそう見とっただけですよ」と言い切る。初出場から10年。帝京という全国を代表する強豪チームを前にして見せた洗練された野球は、神戸国際大附のさらなる飛躍につながるに違いないだろう。

  

(文=氏原英明)

【関連ニュース】
■ 1回戦 興南(九州)vs関西(中国)
■ 1回戦 三重(東海)vs今治西(四国)

【選抜大会特集】
■ 帝京(データ)
■ 神戸国際大附(データ)


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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