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ファンクショナルトレーニングとフォームの関連性 (1)

2010.01.15

殖栗正登のバランス野球学

ファンクショナルトレーニングとフォームの関連性 (1)2010年01月15日

 今、トレーナーの業界では、「ファンクショナルトレーニング」なるものが流行しています。雑誌やセミナーなどでも多く取り上げられています。

ファンクションを日本語に訳すと、「機能」となります。 
例えて言いますと「胃の機能が低下している」となれば、内臓器官の胃が機能していないとなるのだから、食物の消化がしにくくなり、他の臓器に負担がくるだろうと考えられる。

 では、これを野球に例えれば、どうなるでしょう。
肩を上げる筋の機能が低下している、となれば、肘を過剰に使い、肘が壊れている根本原因になっているかもしれない。
また、フォームでいえば「腹筋が拘縮して伸張する機能が低下している」となれば、体を反ることができず、突っ込んだフォームになっているかもしれない。

このように、その筋などの組織の機能が低下(かなり大まかに柔軟性と筋力)すれば、もしかすると、フォームのくずれや障害の根本原因になっているかもしれない。

 このような考えは、理学療法の分野から発達してきています。患者の機能低下を直す職業であるから、そのテストをして、その治療をしていくからです。

 これが今、ストレングストレーナーの世界にも入ってきています。
今回、私はいろいろな考えがあるとは思いますが、グレイ・クックが発案したファンクショナルムーブメントテストを紹介し、ここに野球の動作でどのようなフォームになるのかを説明していきます。

 ここで知って欲しいことは、
「自分の体の使い方が(ムーブメント)がそのようになっていて、そのようなフォームになりやすくなる原因の1つである」
ということであります。そして、
「それがすべてではない。」
ということです。

例えば、先の例文の腹筋の拘縮をとれば、フォームが直るかといえば、大半は治らりません。むしろ、それ以外の重心の置く位置やリズム、タイミングなどいろいろ関わっているケースが多いです。
また、私が現在みている150Km/hを投げるピッチャーも、腸腰筋、腹筋、大腿直筋は固いです。そういう意味では機能低下と言えます。しかし、これを 治すためにストレッチをだいぶしましたが、それが直接「投げる」という動作に特異的ではないのでフォームは変わりませんでした。

 そこで私が考えたのは、ならばそれを利点にして体を前傾させるフォームに変えようという事です。イメージでは「接地してから、いっきに前にたおれこみ」である。これがはまっていっきに150Km/hを投げれるまでになりました。
 このように、自分の体が今、どのように動いているかを知ることで、その人の動きやすい動作を知り、それを長所としてとらえて、力の入れるタイミングや、体の使い方のイメージをつくりやすくできるのです。

それでは、まず1つ目から紹介しよう。

①オーバーヘッドディープスクワット

【やり方】

①肩巾よりやや広めに足を開き、バーを肩巾で腕をのばして真上にもつ。
②かかとを付けて、スクワットを行う。
③回数は3回行う。

○オーバーヘッドディープスクワット

【点数】

「0点」
・痛みがでる。

「1点」
・上半身が脛骨に平行でない。
・大腿骨が水平でない。
・ヒザがつま先をこえてしまう。
・腰の屈曲。

「2点」
・上半身が脛骨を平行以上。
・大腿骨が水平以下。
・ヒザがつま先をこえていない。
・バーが足の上にある。(これを5cm~15cm四方の台にかかとをのせればできる。)

「3点」
・上半身が脛骨を平行以上。
・大腿骨が水平以下。
・ヒザがつま先をこえていない。
・バーが足の上にある。(ノーマルでできる。)

【チェックポイント】

① 足首の背屈の柔軟性
② ヒザと股関節の柔屈曲の柔軟性
③ 胸椎の伸展
④ 肩の屈曲・外転
⑤ 骨盤、腰椎の固定力
⑥ 股関節のねじれ
チェックポイントは上記の6つですが、3点から2点の採点でわかります。特にカギとなるのは①の背屈の柔らかさです。

さて、あなたは何点でしたか。できなくても気にしないで大丈夫です。まず、ここで知って欲しいのはあなたの体型です。
O脚の人はまず、これはできないでしょう。臼蓋変形症でCE角、Sharp角に異常があったり、また、内反股で大腿骨頚角が130度以上なのか、(ちなみに生まれたときは約150度でみんなO脚です。)また、内反膝でQ角に異常があるのか、内反足で足首が内に傾いているのか、これはもう変形症で骨の異常です。これでは肩巾でつま先を正面に向けてスクワットはできません。

注意事項として一つの例を挙げさせてもらうと、
少し前に若いトレーナーが、「私はこのテストができないとスクワットさせない。」と言い、O脚の選手に、何度も指導していたが、一向によくはなりませんでした。
そこで私が「足を広めにひらいてつま先を外に向けて、行って下さい」といったら、腰の過前傾はなくなったのです。この選手は、O脚なのだから、つま先を前に向けることが、正しくスクワットできるニュートラルな股関節位置でなかったのです。これは、マニュアルにはまり、選手のゴールがみえなくなっているよい例ではないでしょうか。
このテストができないからスクワットの時股関節、ヒザの屈曲ができにくくなっているのではなく根本原因はO脚なのだから、まずは、股関節の位置をなおしてあげる事が先です。もし、この動作がやりずらいのであるならば、やりやすい足の位置を探して欲しい。これがその人にあっただしやすいムーブメントをさがすためのテストということだと私は思うのです。

【ピッチングフォームとの関連性】

① この時、骨盤が強く前傾するのならば、まずオーバースローはつくりにくい。やや、腕の位置を下げた方がよい。(理由はフォームの説明時に)
② 深いドロップはでない

  • ○ドロップ

    (※ドロップとは何かはフォーム説明時に)

③ 股関節をひらけば前傾でないでおとせる人はドロップの時に足をやや外に向けて行えばスムーズに重心を重心をおこせる。

このように、その人の体の動きやすい位置をみつけてやりその基本の型を少し崩してあげて動作がでやすくしてあげる事が大切であり、そのためのテストと考えてほしいと思います。

頭でっかちで型にはめようとすると、フォームをくずしてしまう危険があります。
大切なのは、ベーシックの基本のフォームを知った上でナゼそのフォームができないのか、このムーブメントテストして、チェックして確認する。そしてそのフォームをできる位置をさがすことにより、そのフォームをスムーズに正しくできるようにしてあげる事が大切です。そこにその選手の個性がでてくると思います。なので、それを知らないで画一的にフォームを型にはめると失敗します。指導者の方には是非、ご理解して欲しい所で、このテストを是非か活用して頂きたいと思います。
次回は7つあるのでまた説明していきます。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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