オフの期間をどのように過ごすか。
第2回 オフの期間をどのように過ごすのか。2010年01月07日
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練習風景(中京大中京)
高校野球では、12月から翌年の3月の第二土曜日を迎えるまでは、日本高野連の通達で対外試合は禁止されている。つまり、試合のできないオフの期間ということになる。
もちろん、オフといってもほとんどの学校では、年末年始を除いて(学校によっては元旦に集合して全員でランニングをして初詣を行うなどの儀式を組み入れているところもあるようだが)練習は行われている。
この時期の練習は、体力強化やそれぞれの課題を修正していくというところが多い。
この夏、43年ぶり7度目の全国優勝を果たした中京大中京では、この間に選手たちの体力がぐっと伸びていく。とくに、大藤敏行監督が、「食う、振る、走る」を提唱した体力作りは定評がある。体力強化トレーニングを担当している今村陽一コーチが、これでもかというくらいのランニングと体力強化メニューを作成している。この年末に、今春刊行予定の単行本の取材で学校にお伺いしたのだが、その時も選手たちは15Kgの砂袋を抱えて、外周走と呼んでいるが、内野の外回り(一週約115m)を走るトレーニングを何度も行っていた。
これも、ただ単に走るだけではなく、より速くという意識で4~5人一組で、常に競わせる意味もあって1回ごとにタイムを計っては、よりタイムの近いもの同士のチームに組み替えていく。速い選手で、27~8秒台。全員が30秒を切ることを目標としているが、少しでも遅れると、「おーい、もうダメなのかぁ~」今村コーチの厳しい声がかかる。これに奮起して、また走るのだが、こうした地味な反復があの中京大中京の強靭な下半身とパワーを生み出している背景となっている。
この日、私は大藤監督にお願いして、「栄光室」に保存されている深紅の大優勝旗や歴代の優勝レプリカや代表旗、優勝盾なども拝見させていただいた。幾多の栄光を背負ってきた伝統校だが、そんな重さを感じさせる部屋が設けてあるのはさすがである。ただし、応援用のメガホンなどもその部屋に置かれており、これには大藤監督も苦笑していた。
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練習風景(横浜隼人)
一冬越して、暖かくなってきたらまた打ち込みも増やしていくのだろうが、この時期はむしろ、徹底した守備の形を体が覚えこむまで繰り返していくということである。これは、強いゴロを打ってのノックではなく、佐野辰徳コーチが丁寧にゆるいボールを転がして、それを確実にグラブでさばいて送球動作までというものだった。このことを何度も繰り返していた。確実なグラブさばきを身につけるという意味では、こうしたゆるいゴロで、しっかりとした捕球の形を覚えていくことが大事なのであろう。
正面から、次第に左右に振ってギリギリのところまで転がして、いっぱいのところで捕球するという反復は、決して楽ではないし華やかなものではない。しかし、地味な練習ではあるが、こうした地味な練習を積み重ねていくことこそが、来るべき春を迎えるに当たっては一番必要なことではないかと思う。