茨城ゴールデンゴールズ監督 萩本欽一さん
第8回(後編)茨城ゴールデンゴールズ監督 萩本欽一さん2008年01月01日
![](/images/intvw/zenkoku/20080104no08s/2_photo01.jpg)
インタビュー
2008年 新年第一弾!!情報掲示板特別インタビューは萩本欽一さんです。今までにはない全く別の角度から野球について語っていただきました。萩本欽一さんの野球感。みなさんの参考になれば幸いです。
運について
萩本欽一さん(以下 欽) 顔見て苦労で力になる子と苦労が力にならない子っているの。苦労するって事は運が貯まる事。苦労して運を貯めてその運を使うんだから。でも苦労して運を貯めてるのにふて腐れちゃう子がいるの。もったいない。ここには運が生まれない。おしいのにな〜。
俺にとっちゃ不思議なの。
また運はつかみに行くと逃げちゃう。運って女の子に似てて、待ってないと飛び込んでこないのよ。
(選手起用にしても)決勝戦に運を使えばいいんだから。決勝戦から逆算して、選手を長いスパンで見る。だから(決勝戦・4番で使おうとしている選手が)ベンチにいてもなぐさめない。駄目扱いする。それでもベンチでニコニコしていると「あ〜、運がたまってるな〜。」って。・僕は見えるの。で、4番にするとその嬉しさがパ〜ッとね。決勝戦ではそいつ初安打が先制タイムリーだからね。それは一年前に描いていた絵だから。完成品ですね。
そこで(決勝戦)で打てばいいわけだから、他(の試合)でどう打ったとかはあんまり記憶してない。
ス 欽督は選手の運をどのようにして見ているのですか??
欽 公式戦になると運を見つけるために練習を一回見に行くんだけど、練習をしている姿を見ない。三時間くらいグランドに背を向けて話してるわけ。その三時間の間にチラッと2回見るの。その2回に動いている奴!!それって運。その時、あの選手を2番に使おうとか。
![](/images/intvw/zenkoku/20080104no08s/2_photo02.jpg)
上手く運をためて野球をしないとお客さんの面白い野球はできないと話す欽督。
例えば今回のトライアウトもほとんど見ていない。ただ一回チラッと見た時、25番をつけた選手が動いてたの。バッティングの時、みんな待っているのにその選手は屈伸していた。とまっているべき時にとまっていない。これは運が強いね。勝負強い。
もう来年の決勝戦の4番6番とかのイメージは僕の中では。先頭の7番とかね。僕の中で先頭は7番なの。本来の4番がうちだと1番だから。
そうすると後は逆算して最初から出さないようにしようとか。その選手に合わせた、運作り。1年を通して上手く運をコントロールする事。技術は一切見ない。
ス なるほど。
欽 また、その人の顔でその人の勝負強さとか分かる。顔ってどうして違うの?だから顔が変わらない練習って駄目よ。僕からしてみると、顔が変わらないと。僕はそういう点もよく選手を観察してますよ。
サインは最悪
欽 サインは人の運をいじくるんだから。その人の人生を狂わせるか楽しくさせるかの勝負。だから俺はサイン出さない。その人の人生を変える様なそういう嫌な仕事はしない。
ス 代打は?
欽 代打はサインじゃないから。勘がするのは一年に2回くらい。だから代打●●と言う時は100%の自信がなきゃ言わない。だから僕が「代打!」って言う時はみんな打てるものだって思っている。だからしょっちゅう言わない。
今年は1回も行っていない。だって勘がしないんだもん。運が上手く見えないとね。だって苦労が見えないんだもん。
苦労が見えた時・・・例えば、準々決勝で同点の3塁打を打った北野。
ずっとベンチだっただけど、俺はいい所で打つ姿が見えたの。だからベンチにいる時も良かったな、こういう重要じゃない試合に出ていないって事は運が貯まるって言ってたの。だけどこれは辛いんじゃないんだよ。これを重ねれば重ねるほど決勝戦に向けて運を貯めれるんだから、これを辛いと思うなよ。運を貯めていると思うんだよって言ってたの。にこやかに気持ちに余裕を持って行こう!1年前から言い続けたから。だからその試合、最初2番で使うを松沼さんに頼んで予定を放し飼いの8番にした。何故かっていうとサインがでないから。この試合で北野は運を使うので、違ういじりを入れると運がづれちゃう。
案の定、満塁で回ってきて「あ、去年描いた絵だ!これ勝った!もう負けない!」って。(笑)
スランプが無い
欽 だから選手も野球は運だって分かってきたね。うちの野球は悩むって無いんですよ。三振も悲しまないです。そうするとスランプという概念自体が無いんですよ。
それが選手に行き渡って、みんな気分が楽なんだろうね。
一番野球見ていて面白いのはランナーを帰すこと。今年の大会ではランナーをよく返していた。でも、練習試合だとみんな運を使いたがらないから三振ばっか。松沼さんも欽督のせいで試合にならないって嘆いてたよ。(笑)
欽督流スコアの見方
僕のスコアはオセロみたいなもの。白黒白黒。スコアもヒットなら白、アウトは黒、四球、エラーで出塁は白の三角とかそうするとすぐ分かる。運はそろそろかなとか。まだ駄目かなとか。
欽督が考える打線とは2
勝負強い選手を並べても駄目ですね。運を使う奴を間に挟まないと。
野球ってヒット→ヒット→ヒットって続かないから。
僕の理想としてはヒット→四球→ヒットとか、ヒット→エラー→ヒットとか運がからまないと野球にならない。運を上手くつながないと、そんなヒットだけ上手くはつながらないよ。プロじゃないんだから。だから今日ヒットを打ちそうな人の前に運を使いそうな人を挟む。そうすると、四球・四球、よぉ〜し!運を2個挟んだ!って。来年は勝負強いのが2人入ってきたので、バランス的に楽しみ。
運が見える
![](/images/intvw/zenkoku/20080104no08s/2_photo03.jpg)
欽 僕のアドバイスは技術じゃなくておまえの●●が見えるんだ!!形が多いかな。
松沼さんがスタメンを誰にしようかって迷ている時、A選手はどの打席か分からないけど1安打しますよ。B選手は3打席目に1安打しますよ。って。で、実際、Bを使って3打席目に1本打った。人ってそういうことのほうが信じるんだ。神がかりとかね。神様にすがるとか困ったときの神頼みとか人間ってあるんですよ。
上手いとか下手とじゃなくて運が見える。芸能界なんか技術いらないもん運だけで充分だもん。説明してくれって言われてもよく分からない。
欽督流代打の出し方
僕はこの場面ではあのバッターが代打とかそういうのは好きじゃない。二人が駄目になるから。代打で打つと代打に変えられた方の打者が駄目になるんですね。駄目になって行くとその駄目が勝利の足を引っ張る。だから代打と変えられる選手、両方気分がいいのってないかなって考えて。
「お前は今日僕には三振が見えるんだけど、三振したら代打ね。」だから(代打にでる選手は)用意しといて。三振を祈るように。で、三振の後、代打がHR。そうすると殊勲選手は三振した選手。そうでしょ。三振しなきゃHR生まれていないんだもん。打った選手も気分いいけど、それを打たせたのは三振した選手だから。事前に言うと気分がいいでしょ。その試合、その選手のスリーランで勝っちゃった。打った奴じゃないですよ。三振した奴ですよ。凄いのは。だから僕は自分がやる時は「今日のお前には三振が見えるから」とか「今日はヒット1本しか見えないから1本打ったら交代」とか。
「今日はお前は2本打つのが見えるから打ったら交代。友達が好きなら、早く2本打ちなさい。友達が出れないのは僕のせいじゃないよ。こいつが打たないから。」(笑)
だから僕は局面に応じて急に代打っていうのはわからん。投手が変わったっていうのは関係ない。あくまでこちらが感じた運だから。
僕は代打の場合は最初から決めておく。代打に出れないのは打たない選手のせい。(笑)
だから僕は監督が嫌われるって采配は一度もしてないから。だって監督が嫌われたらチームにならないもん。
だから嫌われ役は松沼さん。大変だよね。でも運だけで野球をやらないとお客さんが面白いとおもうゲームにはならない。
高校生へのメッセージ
欽 嫌だな、辛いなって思う事に逃げない事。そうすると、そこに運が貯まるから。だからそういう場面でワクワクしろと言いたい。だからベンチにいても監督に言えばいい「僕、運が貯まっています。」ってそうするとカーンって打つよ。そんなに神様ってひどい事しない。
だからどうもレギュラーから外れちゃったな。辞めようかっていうのは運から逃げるって事。そういう事をしているといつまでたっても運は来ないよ。
運から逃げて行く人が約8割ですよ。だって嫌な事とか辛い事は誰でも避けたいじゃない。
自分が監督になったつもりで今、自分という選手は運を貯め込んでいるとこだと見れるようにやりなさい。良い監督はその苦労を見逃すはずがない。
![](/images/intvw/zenkoku/20080104no08s/2_photo04.jpg)
黙々と玉拾いをしている姿を見ると必ずその努力を報われるようにしたいなって思うから。
上手いとか下手とか技術は壁にぶち当たる。
いい打者っていうのは投手が打たせないようにしてるからなかなか打てない。
優れた打者っていうのは振った所に投手に投げさせる。運で引き込んじゃう。
だから80人いる。レギュラーになるの大変だなではなくて、わ〜80人いる。レギュラー狙うのが面白そうだ。あ〜エラーしちゃった。ではなく、あ、これで予選の時に相当良い運を使いそうだと。守備で不運なら打撃でそのぶん運が行ったに違いない。チャンスに打てないのなら、今までの練習よりなんでも多めに練習する。
そうすると次のチャンスで「俺、今までより多くやったよな、」って自分に言い聞かせると反応が出てくる。そうやっていくと辛いが無いじゃない。
運が無い子は「大変だな〜。」「他行こうかな〜。」と考える子。そういう子は肝心な所で不運がでちゃう。
努力は後からついてこればいいんだから。エラーして下手だな、バッティングに運が行ったかもしれないって考えて、練習する。後から少しづつ守備も上手くなればいい。
上手くなろう、なろうとしても試合では運が無くては使えないよ。
ス なるほど、急に上達するわけではないので、まずは気持ちの持ち方で変わる運を味方につけ、後から努力によって技術を後付けしていくのですね。
欽 それで打てなかったら人から運をもらうの。例えば、「お母さんお使い行ってくるよ」とか気持ちよく人の手伝いとかするとその人が運をくれる。上手くなる過程を運でつなぎ合せて行く。
練習してすぐ上手くなる人と上手くなるのが遅い人がいるけど、遅い人は時に運を上手くつなぎ合せていかなきゃ。僕の理想とする選手は運強い選手。
そうやっていると良い場面で良い思いでができる。みんなに喜ばれるヒットを打てるよ。
後うちに来た選手はほとんどが5割が監督から遠い。指導者に好かれるような行動を見せなかったので、監督から距離が離れてしまったんだよな。それじゃ野球が楽しくないだろ。自分はできるのになんで使われないんだろう、じゃなくてやっぱり監督に自分はこうだと見せなきゃいけない、それもわざと見せるのではなく、辛い仕事を率先してやって見せなきゃ。そうするとどこかで目が合う、それをしないと監督から遠くに行っちゃう。そうするとなんかこの子運を使うんじゃないかって思いますよ。だからつまらない仕事を楽しく一生懸命やっていれば下手でも運が回ってくし監督に近くなるよ。
力を使う監督か運を使う監督かを観察して運も使う監督なら必ずぶちあたるよ!!
そしたら甲子園で代打●●カーン!!てね。