Interview

千葉ロッテマリーンズ 今江敏晃 選手

2008.08.26

第14回千葉ロッテマリーンズ 今江敏晃 選手2008年05月07日


インタビュー

今回の独占インタビューは、ロッテで活躍している今江選手です。北京五輪代表一次候補に選出されている今江選手。練習前にお邪魔させて頂きました。


学生生活について

スタッフ(以下 ス) 早速なのですが、今江選手は、中学校時代ボーイズリーグで、日本代表に選ばれたりしていましたけど、どうして高校に進学する際、PL学園を選んだんですか?

今江(以下 今) 簡単に言ったら、プロ野球選手になりたいという事が、一番の決め手でした。でも、その当時、京都の鳥羽高校が、凄く強くて、甲子園の常連校だったので迷いましたが、当時、憧れのボーイズの先輩であった元近鉄バッファローズの覚前さんから電話で「甲子園に出たいんやったら、京都の鳥羽高校がええと思うけど、プロ野球選手になりたいんやったらPL学園に来たほうがええよ。」とアドバイスもらいました。それがきっかけでPL学園に決めました。

 そんな経緯で実際にPL学園へ進学して、第一印象は、どうでした?やっぱり凄い所にきたなぁと、感じましたか?

 やっぱり凄い所にきたなと、感じましたよ。でも、打つとか守ることに関しては、始めからでも、やっていけるとも感じていました。ただ、一年生という立場が、ありましたから、野球をすることが出来なかったり、痩せてしまったりと、そんな現実もありましたけど。

 やっぱり寮生活は、大変だったのですか?

 半端ないっすよ!(苦笑)

 その当時の面白いエピソードとか、教えてくださいよ。

 面白いって言っても、あんまり表では言えないような、面白い事なんでね(苦笑)いっぱいありますが、強烈をも超えてるくらいでしたからね。

 先輩の言うことは、絶対に聞かなくてはいけないといった、上下関係のような厳しさなんですか?

 そんなもんじゃないっすよ(笑)まず、先輩と話したらダメとかですよ。特に3年生とは、自分からしゃべっちゃダメでしたからね。「はい」か「いいえ」だけしか言っちゃいけないんです。後、先輩が「おまえ身長何センチなんや?」って聞かれて、「180センチメートルです。」とか、先輩に「今何時や?って聞かれたら、何時何分です」とか、「おまえ、足のサイズいくつや?」って聞かれても「27.5センチメートルです」って最後までしっかり言わなくちゃいけないような、しょうもないことが、沢山ありました。(笑)

 そうなのですか。厳しいですね。「はい」か「いいえ」しかいけないのですもんね。

 そうです。基本「はい」か「いいえ」しか言っちゃいけないんです。

 そういった環境の中で、どうやって自分をアピールしていったのですか?

 先輩のバッティング練習の時に外野の球拾いをするのですが、そこで人よりアピールしなくちゃいけないから、人一倍、声を出したりして、アピールしていましたよ。

 ここにいるのだぞと、いうアピールをしていたんですね?

 そうです。

 PL学園に進んでくる子たちは、ボーイズ時代、沢山のキャリアとか持って、きていましたからね。

 そうですね。僕らの代は、ボーイズやシニアの段階で、本当にトップでいたような奴が、全部集まっていたので。

 それでは、そんな高校時代での練習方法などを通して、今に活きているような事は、ありますか?

 他の高校などの練習など見てきたこと無いので、どういう練習が良いとかわかりませんが、バッティングに関しては、試合以外は、竹バットで練習していました。一年中。ちょっとだけでも芯を外すと痛いんですよ。それで、上手く打つ為には、竹ってしなるから、しなりを上手く使って、飛ばすようにしていました。金属バットも飛びますが、(ボールと)ガーンって衝突して飛ぶので、しなりで飛ぶわけではないじゃないですか。あと竹バットって重いんですよ。

 ちなみに今江選手が、今使っているバットの重さは、何グラムくらいですか?

 900グラムくらいですね。前までは、920とか使ってましたけど、少し軽くしました。

 後は、(高校時代から今に活きている事は)競争心ですかね。ハングリー精神もそうですが、球場以外でも、色んな競争とかがありました。例えば学校が終わると、寮まで2キロくらいあるんですけど、1年生は、学校が終わったら寮まで競争です。で、最後の3人が、先輩のパシリにならなくちゃいけなくて、先輩の教室の廊下で、待っていなくちゃならないんです。そういったルールにハマったら、自分が受け持っている事や、絶対しなくちゃいけないグランド整備も出来なくなる悪循環になるので、皆必死に走っていました。だから、そういうので負けたくないという心を鍛えられました。

(結果として)下半身なども、鍛えられたんだと思いますね。(笑)

 2キロダッシュって辛いですね。

 だから、凄く長距離速くなるんですよ。(笑)でも、その分短距離とか遅くなる時もありますけど、疲労骨折とかで・・・

 なるほど、グランド以外での厳しさが、今に活きているということですね。

 そうですね。メンタル的に、凄く強くなりました。まぁ寮生活や上下関係も凄く厳しかったので、人間的にも凄く成長できたとも思いますね。人前で僕は、あんまりしゃべれない人間でしたが、そういった面でも強くなったと思います。後、コーチが凄く厳しい方でした。「自分のケツは、自分で拭け」といった凄く男らしい人だったんで、そういった方に指導してもらったことも、自分が人間的に成長できた要因だと思います。野球も成長出来きましたが、そういった強い心もPL学園で成長することができ、凄く良かったと思います。

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プロに入ってから

 高校からプロに入って違うと、感じたことは、どういったことですか?

 入った時には、壁は感じませんでした。一年目のオープン戦ですけど、二軍の教育リーグなどで、ホームラン7本くらい打っていました。

 比較的すんなり、プロの世界に入れたということですか?

 はい。

 では、現代に至るまで順調ということですかね。

 順調では...ないですけどね。まぁ大きな壁なんかには、あまり当たっていないという感じですね。挙げるとしたら、去年怪我して、上手く活躍出来なかったということです。周りからは、壁と思うかもしれない事も、僕にとっては、壁とは感じなかったのかもしれないし、なんか変な所に自信があるんですよね。僕は、出来ると、いったような感じです。

 では今シーズンに関しては、手術もして調子が良いと、いう感じですか。

 今の所は、良い感です。まぁシーズン終わってみないと解らないところですけどね。2005年で、凄く良い思いをしたんで。

 2005年のような神が降りてきたと、いう感じは、毎年来るのですか?

 いやぁ無いです。あの年だけです。だから2006年2007年は、自分にとって不具合というか、2005年と比べちゃいますよね。

 少し話それてしまいますけど、今のところ北京オリンピック第一次候補に残っていらっしゃいますけども。

 そこはね、代表候補に挙がっていて、凄くうれしいです。また自分の中では、当たり前なことだとも思っています。そこに自分の名前が無いと駄目だとも思います。

 WBCの代表にも選ばれていらっしゃいましたけど、韓国戦やキューバ戦などは、私自身としても、非常に印象深く、記憶に残っているんですけど、国際試合の醍醐味とは、どんな所にありますか?

 一発勝負なんで、一球の大切さと、一球の重みを凄く感じる場だなと、思います。

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高校生へアドバイス

 高校生に対して、練習面のアドバイスや、どういった箇所を意識して、練習したら良いかなど、教えていただきたいんです。

 高校の時とプロに入ってからの練習面は、全く違うものになってくるんですよ。でも僕が、高校時代は、かなりの引っ張り専門だったんで、インコースしか打たない、むしろアウトコースが、打てなかったんですよ。だから、プロになって初めは、ホームランとか打てていたんですけど、やはり一軍になると、アウトコースもインコースも打てないとやっていけないという事に、気付いたんで、練習でやるようになりました。やっぱり高校の時に、それが出来ていれば、全く違ったいたとも思いますね。逆に、今甲子園とか観てたら、みんな良いバッティングするなと、感心しますよ。(笑)柔らかいバッティングするな〜とも、感じます。良いフォームで打ったりとか、僕は、そんなにうまく出来ていなかったんで。

 アウトコースを打つ練習方法とかあるんですか?

 僕は、意図的に流すことは、出来ない人間です。感覚で知っていて。。。なんとも言えないですけど、どういった練習方法というか、来た球を必死に流すように打ち続けていました。その中で、試行錯誤の繰り返しをしていましたね。体で、覚えるようにしていた人間なので、どうやってと言われても、難しいですね。ただ、自然にアウトコースも打てるようになると、自分のヒットゾーンが、広くなると思うんですよ。またその形を身に付けておけば、色んな事に応用が効きますね。

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メッセージ

 では、最後に球児にメッセージをいただきたいです。

 最後の夏なので、悔いのないように。後、高校野球の最後の大会は、確かに今までの仲間たちと野球をやる大切な時だと思うんですけど、人生はその後の方が長いですし、高校野球で良い勉強たくさんしてきていると、思います。だから、野球の技術だけではなく、さっき言ったように、人との触れ合うことから学ぶものも沢山あると思うので、高校野球が終わったからっといってはじけて、今まで身につけた事を忘れてしまうのはもったいない。そういったことをこれからの人生で活かせるように頑張ってほしいです。絶対何か活きてくると思いますので、これからの人生、噛み締めて頑張ってほしいです。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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