韓国vsチャイニーズ・タイペイ
崖っぷちの韓国、日本戦に全てをかける
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先発・ホ・ユンドン(韓国)
韓国とチャイニーズ・タイペイ(台湾)の試合は、7対2で台湾が勝った。試合後、韓国代表の李聖烈(イ・ソンヨル)監督は、「今日の試合のことは早く忘れて、明日の日本戦に向けて、全力を尽くしたい」と語った。
この試合は、点の取られ方が悪かった。2回表の台湾の攻撃では、一、二塁の場面で韓国の先発、左腕のホ・ユンドンは、二塁に牽制球を投げようとして、ボールを地面に叩きつける暴投をして二、三塁となり、次の打者に左中間を破られ2点失い、ホも2回で降板した。
5回表には、2番手で韓国高校球界屈指の速球派であるイ・ミンホがやはり一、二塁から今度はボークで走者が進み、次打者の詰まった当たりの中前安打で2点を失い、勝負の流れは、ほぼ決まった。
韓国にも不運な面もあった。3回裏の攻撃で、無死一、二塁から、小柄だが闘志あふれる業師のキム・ジチャンが絶妙のバントで、内野安打かと思われたが、微妙な判定ながらアウト。チャンスを広げることはできなかった。それでも、送りバントにはなり、一死二、三塁となったが、1点しか取れなかった。
5回表のイ・ミンホのボークにしても、セットから少し動いたという判定だが、微妙であった。
この点について韓国の李監督は、「いくつかの判定は不満もありますが、敗戦の将が言うのは道理ではない」と、多くは語らなかった。
日本戦は韓国高校球界ナンバー1投手が先発
韓国の悪い面が目立った試合であったが、台湾は野手の球さばきもうまく、攻守にレベルの高いチームであることは確かだ。韓国にすれば、早く気持ちを切り替えたいところだろう。
韓国の李監督は、日本戦の先発は、エースのソ・ヒョンジュンであることを明言した。ソは、韓国では超高校級と評判の投手。韓国のプロ野球には、地元の高校の選手を1人優先指名できる制度があるが、ソは、地元のKTに優先指名されている。しかも、日本は社会人野球代表が出場予定である、10月に台湾で開催されるアジア野球選手権大会に、韓国代表として出場することが決まっている。
ソは、最速は150キロにギリギリ届かないくらいだが、ツーシームの評価が高く、カーブなど多彩な変化球を投げる。また韓国の大会では、制球の良さが評価されている。
6月に開催された韓国の全国大会では、チームを優勝に導き、MVPに選ばれた。実は今回の韓国代表の李聖烈監督も、主戦捕手のカン・ヒョヌも、台湾戦で先発したホ・ユンドンもソと同じ裕信(ユシン)高校である。6月の全国大会を主催した韓国の有力紙『東亜日報』は、裕信の優勝を伝える7月1日の紙面で、「体力条件や柔軟性をみると、高校ではなかなか見つからない選手」という、裕信高校監督としてソを評価する、李監督のコメントを載せている。
韓国はオープニングラウンドから持ち越される結果も含め、台湾戦の敗戦により、スーパーラウンドで早くも2敗。ただ、追い込まれた時の韓国はかなり脅威だ。
李監督に日本チームの印象を聞くと、「我々は精神力でやってやるという気持ちでやることを、選手に望みます。相手チームのことは、話したくありません」と、日本チームについてのコメントはなかった。
日本もここ2年は韓国に勝てていない。それだけに、期するものがあるはずだ。まず気持ちで負けないこと。そのうえで、日本の力を出し切ることが、勝利の鍵になる。政治的な状況とは関係のない、長年競い合ってきたライバル同士の好勝負を期待したい。
(文=大島 裕史)