主将の先制パンチとボディーブローのように効いた足技で聖光学院が競り勝ち



赤堀颯(聖光学院)*春季東北大会より

トーナメント表
夏の甲子園の勝ち上がり

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第104回 全国高等学校野球選手権大会

<第104回全国高校野球選手権大会:聖光学院3-2横浜>◇14日◇2回戦◇甲子園

 初戦で無四球完投勝利を挙げた横浜(神奈川)の左腕エース、杉山 遙希投手(2年)に対して、強打を誇る聖光学院(福島)がどんな攻略をしかけるのか。この点を中心に試合を見ていた。

 1回裏、聖光学院の先頭打者は、主将の赤堀 颯内野手(3年)。切り込み隊長、チームのけん引役が、初球をいきなりたたいて左前安打で出塁した。134キロの直球だった。これは普通の安打以上の意味を持つ。ストライクを取りに来た「試合の入り」の球を狙い、打線に勇気を与えた。その後、3番・安田 淳平外野手(3年)の右前適時打で1点を先制した。聖光学院のベンチが盛り上がったのも容易に想像できる。

 5回の勝ち越し劇は赤堀が足でもぎ取った。意表を突く三塁前へのセーフティーバントで出塁。俊足を生かした。さらに盗塁で二塁へ。横浜の杉山のモーションを完全に盗んだ見事な盗塁だった。横浜玉城 陽希捕手(3年)がとっさの判断で右手でウエストするように立ち上がって指示。杉山もそれに応えて外角高めに外した。完璧な送球を二塁にしたが完全にセーフだった。赤堀のスタートの勝利だった。その後、併殺の間に赤堀が本塁に生還する。結局、これが決勝点となる。強打だけが強さではない。それを証明してみせた。

 7回1死一塁、横浜の杉山は、ボークすれすれの投球をする場面があった。一塁走者の2番・高中 一樹内野手(2年)がスタートを切る仕草で揺さぶっていた。それが原因なのか、杉山は右足を上げた瞬間にけん制か、打者への投球か、迷って混乱が生じていたことが分かる。杉山はやはり走者に神経を使っていた。8回途中104球でマウンドを降りたが、119球で完投勝ちした聖光学院佐山 未来投手(3年)以上に精神は疲労していたかもしれない。投手の「疲労」は、なにも球数だけで決まるものではない。

 聖光学院1番の赤堀、2番の高中は2安打ずつを放った。初戦と合わせると、赤堀は8打数5安打、高中は6打数4安打。2人で14打数9安打と打線をリードする役目を果たしている。バットでも、足でも相手投手を揺さぶる。このコンビを抑えないと聖光学院には勝てない。

(記事=編集部)