都立城東vs明大明治
先発した山口(都立城東)
160センチ右腕・山口躍動! 城東3年ぶり都大会進出!
第3ブロック決定戦。
3年ぶりの都大会を目指す都立城東と2年ぶりの明大明治の対決。
明大明治の三塁側スタンドに明大明治の応援団が駆けつけ、大学の応援を思い出させるような熱烈な応援に対し、都立城東は控え選手、ファン、父兄を中心に熱い声援を送り、狭いネット裏スタンドは異様な熱気となっていた。ブロック予選とは思えない様な熱さだった。
1回裏、都立城東は1番横山のセンター前、2番吹田の四球、3番金谷が犠打。投手強襲の当たりとなったが、投手・佐藤が弾いて無死満塁のチャンスを作る。4番大久保がセンターへ犠牲フライを放ち1点を追加。5番大倉のセンター前ヒット。センターがバックホームをしたが、送球が大きく高めに浮いてしまい捕手は諦め、前進してボールを処理。三塁へ投げようとするが、ボールをこぼしてしまいあっさりと一死二、三塁。6番山下のセカンドゴロで1点を追加し、3対0と先行する。
さらに2回裏に二死二塁から2番吹田のライト前タイムリーでさらに1点を追加。4対0と先行する。
都立城東の先発は山口。160センチ60キロと小柄な投手だが、完成度の高い好投手だった。
下半身はしっかりと鍛えこまれている様子が伝わり、身のこなしも良い。小柄で身のこなしが良い投手は大抵フォームが綺麗な投手だ。彼はヒップファーストが効いた土台の良いフォームで投げることができている。腕の振りは外旋気味で、身体全体を回旋させる勢いで球威のあるストレートを投げ込む。直球は常時130キロ前後を計測していていそうで、ひと冬超えれば135キロ超えも期待できそうなストレートだ。ただ外回りした軌道はリリースポイントがずれて、シュート回転になりやすい。シュート回転したストレートが見られ、それが気になった。
体重移動が良いフォームなので、1.05秒前後の高速クイックでストライクに投げいれる制球力も備え、ベースカバーの素早さ。技術的にもしっかりしていている好投手だ。
山口を迎える都立城東ナイン
快調なペースで行ったが、4回表に初ヒットを許すと二死一、二塁となって、7番橋本がセンター前ヒットで1点を返す。この一打。完全な
センター前ヒットではなく、ダイレクトで捕るか、捕らないかを躊躇してしまいその結果がセンターの前に落ちるヒットだった。勿体無いプレーだった。
7回表、明大明治は7番橋本が左中間を破る三塁打。さらにバッテリーミスで1点を返し、4対2と2点差となる。
なんとか追い付きたい明大明治。0点に凌ぎたい都立城東。エース山口は実に冴えていた。この回から武器は曲がりの大きいスライダーを解禁する。右腕を外旋させ、独特のリリースで投げるスライダー。打者の手元で大きく曲がるスライダーで明大明治打線を封じ込んでいく。先頭打者を空振り三振に仕留めると、二死からスライダーで空振り三振。
堂々とベンチに戻っていく姿が実に逞しく、背丈以上に大きく見えた。
そして9回表も、二者連続三振で、最後はセカンドゴロに打ち取りゲームセット。都立城東が2年ぶりの都大会進出を果たした。
160センチでも投手として必要なハートの強さを持っている。どんな場面になろうと俺が抑え込んでやるんだという気持ちが見えていて、頼もしさを感じる。強豪私立相手に対しても臆しない逞しいピッチングを見せることができるか注目していきたい。
(文=河嶋宗一)