創価に現れた180センチの逸材2年生 好投手の系譜に指揮官も期待



土居 賢士郎(創価)

<春季東京都大会:創価10ー1立教池袋>◇1回戦◇1日◇多摩一本杉

 1日に春季東京都大会が開幕し、初日から西東京の強豪・創価が登場。立教池袋を10対1の7回コールドで下し、幸先よくスタートを切った。

 先発はエース・土居 賢士郎投手(2年)を抜擢。「馬力と勢いがある」と片桐監督が評価する180センチの長身右腕は、高さを生かした角度のある直球が光り、初回を三者凡退に抑えて守備からリズムを作る。すると、4回、無死二塁から8番・藤岡 圭太外野手(2年)のヒットと相手のエラーで先制に成功。その後も3番・鈴木 太蔵捕手(3年)も、立教池袋先発・林 京乃佑投手(2年)の高めの変化球を捉えて、打点を記録するなど、一挙4点で主導権を握る。

 リードを受けたマウンドの土居は3回以降も危なげない投球。立教池袋打線に5回まで三塁を踏ませないピッチングを見せる。6回に立教池袋2番・飯田 尚孝捕手(2年)に一発を浴びたが、その後の失点は許さずに6対1で迎えた7回に創価打線が再び火を噴き、10対1と試合を決定づけた。

 秋からエースナンバーを任されている期待の2年生右腕が、大事な初戦で結果を残した。セットポジションからバランスよく立つと、スムーズに体重移動を行い、最後は鋭く右腕を振り下ろす。最速は130キロ中盤だが、ネット裏から見ていても、球速以上に球の勢いを感じた。土居本人も「球速以上に球質を大事にしている」と、いかに球に力を伝えられるか考え抜いた末に、現在のような上から振り下ろすような、縦回転の投球フォームに至ったという。

 元々はもう少し腕の位置は低く、球速で勝負する投球スタイルだった。だが、「高校野球では通じない」と入学してすぐに今のままでは、自信を持っていた直球が通じないことを痛感した。「球質で勝負しよう」と回転にこだわりを持って、考え続け、現在のフォームにたどり着いた。

 ポイントは軸足1本で立った時のバランスだ。秋の時点では、「球質を意識し過ぎた」と腕を振り下ろすために、腰をそり過ぎてしまい、フォームのバランスが悪かった。身体への負担も大きかったことを反省して、冬場はシャドーピッチングを通じて、フォームの改善に努めた。

 「軸足で立った時に、まずは腹圧をしっかり入れた状態で股関節に体重を乗せます。ここができないと、股関節を立てることができず、寝る状態になってしまうため、全身のバランスが崩れて、制球が乱れます。そのために冬場はマウンドを使ってシャドーピッチングをして、実戦に近い形でフォームを見直しました」

 まだ2年生で、今年のみならず来年も創価の投手陣の中心にいることは間違いないだろう。過去には森畑 侑大投手(現創価大)や菊地 郁也投手(現鷺宮製作所)という右の本格派投手を輩出しているが、片桐監督もその系譜をたどることができるか期待を寄せている。

 野手でも、鈴木捕手を中心に振れる選手が多く、今年の創価も仕上がっている。それでも片桐監督はあくまで「守る野球で一戦一戦丁寧に戦いたい」と地に足付けて上位進出を目指すことを誓った。次戦以降も守備の創価から目が離せない。