髙橋、進藤の打棒さく裂、エース林が強気の攻めで山梨学院ナインが県勢の快挙達成

髙橋 海翔(山梨学院)
<センバツ高校野球:山梨学院6ー1広陵>◇31日◇準決勝
山梨学院ナインが県勢の大きな壁を破って見せた。記念大会でもある95回大会でついに山梨県勢初の決勝進出。センバツだけでなく夏を通じて甲子園初の決勝進出となり、ナインはもちろん、アルプス席も大いに盛り上がった。
広陵(広島)、山梨学院(山梨)両先発投手が息が詰まるような投手戦を繰り広げた。広陵の先発、髙尾 響投手(2年)が、低めの直球、変化球で山梨学院打線に的を絞らせない。一方の山梨学院の林 謙吾投手(3年)は高めに伸びのいい直球を軸に強力打線が自慢の広陵を抑えた。ともに序盤で犠飛で挙げた1点のみで、試合が進む。
6回までは広陵がやや上回っていた。高尾は3安打しか打たれなかったが、山梨学院の林は初回から6回まで毎回走者を出しながらなんとかしのいでいた。しかし、7回に潮目が変わる。山梨学院の4番・髙橋 海翔内野手(3年)、6番・進藤 天内野手(3年)にそれぞれこの日2本目の安打が出た。得点にこそ結びつかなかったが、攻略の糸口をつかんでいた。
そして運命の9回表を迎えた。1死二塁のチャンスで4番の高橋が打席に入る。追い込まれながらも高尾の投じた外角低めのスライダーをバットの先で中前へ運んだ。投手からすればこの以上ないコースに投げたが、高橋の技術が一枚上回った。それから連打が生まれるなど、一気にこの回5得点。行き詰まる一戦に終止符が打たれた。
山梨学院の高橋と進藤はともに3安打の活躍。高橋は2試合連続の3安打猛打賞で、打率を.450に上げた。進藤も2試合連続猛打賞。こちらは全試合安打をマークし打率を.647とした。
エース林は広陵相手に1失点完投勝利。「広陵のボンズ」と呼ばれるスラッガー、真鍋 慧内野手(3年)は3打数無安打(1四球)に抑えてみせた。3回と5回のピンチではいずれも高めの直球で、空振りの三振、三邪飛に仕留めた。本塁打を恐れず、強打者のインハイ攻めというセオリーに忠実な攻めで真鍋の本来の力を封じて見せた。
山梨県勢は過去センバツで4度、夏は3度、準決勝で敗退していた。1度も破ることができなかった壁をようやく乗り越えた。
広陵の高尾はまだ2年生。敗れてしまったが、投球内容としては胸を張れる出来だった。低めへのスプリット、スライダーと沈む球を駆使し、時折魂のこもった直球をズバッと決めていた。今夏はもちろんのこと、来年までにさらに大きく成長できると信じている。
(記事=編集部)